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安全、安定、そしてより賢明な移民議論

公開日
2025-04-17
メディア
The Ripon Forum
記事要約
近年のアメリカの選挙では、移民政策が主要な争点となっており、バイデン政権4年間の影響を受けて、移民問題は経済、安全、政府への信頼といった日常的な関心事と結びつくようになっている。

世論調査では、特にテキサスのヒスパニック有権者の間で「公平でありながらも厳格な」移民制度への支持が広がっており、国境警備強化と長期在留の不法移民に対する合法的地位の付与という、法と秩序と寛容性を両立させた姿勢が求められている。

2022年以降、共和党はテキサス南部などのヒスパニック票を大きく伸ばしており、民主党の支持基盤であった地域でも共和党候補が優勢になるケースが増えている。この変化の背景には、インフレや治安の悪化、国境管理の不備に対する不満があり、特に労働者階級のヒスパニック男性の間で共和党への支持が拡大している。

2025年のピュー・リサーチの調査でも、国境壁建設、軍の配備、不法移民の強制送還への支持が過半数を超えている一方、全ての庇護申請の停止や「サンクチュアリ・シティ(移民保護都市)」への資金削減などには半数以下の支持しかない。つまり、国民は厳格な執行を望んでいるが、極端な政策や非人道的な対応は好まれていない。

テキサスのヒスパニック有権者の多くは、国境警備の強化(62%支持)と同時に、既に国内にいる不法移民への合法化(69%支持)も支持しており、閉鎖的な移民政策ではなく「管理された公平な制度」を望んでいることが分かる。

また、調査によると、経済や治安の課題に焦点を当てる候補者が、文化的・社会的問題に重点を置く候補よりも多くの支持を集めており、これはトランプ氏の2024年の成功したメッセージと一致する。ヒスパニック有権者にとっては、イデオロギーよりも「仕事、安全、生活の安定」が重要なのだ。

この現状を受けて、共和党は以下の4つの戦略を重視すべきとされている:

治安を前面に打ち出し、現実的な解決策を提示:厳格な法執行と同時に、長期在留の不法移民への合法的地位付与も進める。

極端な政策は避ける:法の執行を重視する一方で、人道的配慮を欠いた過激な提案は支持を失う。

移民問題を経済の文脈で説明:国境管理強化が賃金、住宅価格、公的サービスへの圧力軽減につながることを強調。

地域社会との関係構築に投資する:ヒスパニック地域での信頼構築と継続的な関与が今後の鍵となる。

現在、アメリカは移民政策の転換点に立っており、ヒスパニック有権者の動向はその重要なカギとなっている。共和党にとっては、これまでの価値観に基づいた移民政策を再構築することで、新たな連立政権の基盤を築く絶好の機会でもある。
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