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トランプ大統領がいかに移民取り締まりを強化したか - データで見る

公開日
2025-07-23
メディア
The Guardian
記事要約
トランプ大統領が再び就任してからの6か月間で、アメリカの移民取り締まりが大幅に強化され、ICE(移民・関税執行局)による逮捕者数は急増しました。特に2025年6月には、1日あたりの平均逮捕者数が2024年6月と比べて268%増加し、非犯罪歴者の逮捕が過半数を占めるなど、犯罪歴のない移民も対象に含まれています。

5月のホワイトハウス会議でスティーブン・ミラーとクリスティ・ノームが「1日3000人逮捕」を指示したことをきっかけに、ICEの取り締まりは加速。6月4日には1日で約2000人を逮捕し、過去10年で最多となりました。特にカリフォルニア州ロサンゼルスでは、軍装備をした連邦職員が公園や商業施設で無作為に移民を逮捕し、批判を浴びています。

こうした強硬姿勢に対し、ロサンゼルスでは連邦判事が「合理的な疑いがない限り取り締まり禁止」との仮処分を出し、差別的取り締まりへの訴訟も起きています。

拘束された移民の数は5万5000人に上り、収容施設は1万3500人分を超過して過密状態に。一部施設では不衛生で劣悪な環境が報告され、赤ちゃんが大幅に体重を減らすなど深刻な人権問題が指摘されています。それにもかかわらず、トランプ政権はICEの収容能力を倍増させるため、450億ドルの予算を確保しました。

また、移民裁判中の保釈を禁止する方針も打ち出し、長期拘束の恐れが高まっています。

一方、国外追放(強制送還)はそれほど増加しておらず、2025年初めから6月までで約12万7000人が送還されました。これは、南部国境の封鎖により新規入国者が減った一方で、米国内に長年滞在している移民の逮捕・送還に重点が置かれているためです。

また、ホンジュラス、エルサルバドル、ベネズエラ出身の移民に対する人道的在留措置は終了し、各国に数万人が送還されました。

さらに、出身国に送還できない移民を第三国へ送る「第三国送還」が拡大され、ベネズエラ人がエルサルバドルの刑務所に送られたり、ロシア人がコスタリカに、他国出身者が紛争下の南スーダンやエスワティニに送られたりする例も報告されています。こうした送還は、本人に反論の機会を与えずに行われており、人権団体から強い懸念が示されています。
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