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移民、人質、そして古代世界からのもてなしの教訓

公開日
2025-08-14
メディア
ELON University
記事要約
この記事は、「ホスピタリティ(もてなし)」というテーマを、古代ギリシャ文学『イリアス』と『オデュッセイア』の場面に重ねながら、現代の移民や人質問題と結びつけて論じています。
『オデュッセイア』では、主人公オデュッセウスが旅の途中でさまざまな主人に迎えられるが、その多くは下心や条件付きのもてなしであり、純粋無条件のホスピタリティは稀であると指摘されます。『イリアス』終盤では、トロイ王プリアモスが敵将アキレウスのもとを訪れ、息子ヘクトルの遺体返還を求める場面が描かれ、敵同士でありながらも感情と利益が交錯する危ういもてなしの姿が浮かび上がります。哲学者デリダは、もてなしの本質には「敵意」と「依存」が同居するとして「ホスティピタリティ」という概念を提唱し、客は主人に寛大さを発揮させる存在でもあると述べました。

筆者はこの視点を現代のアメリカに当てはめ、移民受け入れが厳格な条件付きで行われている現状を指摘します。移民は「良い客」であることを求められ、滞在にも多くの制限があるが、実は移民は受け入れ国に寛大さや相互理解の機会を与える存在でもあると強調します。また、ガザの人質問題にも触れ、プリアモスとアキレウスの12日間の停戦のような交渉が可能かを問いかけています。最終的に、良い主人と良い客は互いに大きな成果を生み得るとし、移民を寛大かつ互恵的な精神で迎えるべきだと結論づけています。
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