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移民の財政的影響:最新情報

公開日
2025-09-05
メディア
American Enterprise Institute
記事要約
このレポートは、アメリカにおける移民の財政的影響を最新のデータや研究成果を踏まえて分析したものです。結論として、移民全体としては財政に対して純プラスの影響を及ぼしており、とりわけ高学歴の移民が大きな貢献を果たしています。一方で、低学歴の移民は直接的には純マイナスの影響を持つものの、近年の研究では資本課税収入の増加や生産性向上といった間接的な効果を考慮すると、その負の影響は縮小し、場合によってはプラスに転じる可能性も示されています。

財政負担の内訳を見ると、連邦政府レベルでは移民は税収面での寄与が大きく、財政赤字を増やしてはいません。むしろ教育費や医療費といった支出を担う州・地方政府にとって短期的な負担が生じています。ただし移民の子どもたちの教育や健康への投資は将来的な税収増につながり、長期的には回収可能とされています。また、アメリカが直面する莫大な財政赤字(約150兆ドル規模と試算される「財政ギャップ」)に対しても、移民は人口を増やすことでその負担を「希釈」し、既存世帯一つひとつの将来負担を軽減する効果を持つと説明されています。

さらに、パンデミック後の移民急増は連邦財政に大幅なプラスをもたらしましたが、州・地方には追加コストも発生しました。これを受けて制定された「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)」は、移民の受けられる社会保障や税控除を制限し、違法入国者への罰金や送金課税などで歳入を確保する一方、強制送還などに依存する姿勢が強まり、経済成長や税収面でマイナスをもたらす懸念が指摘されています。

総じて報告書は、移民がアメリカ財政にとって重要なプラス要因であることを強調しつつ、特に教育水準の低い移民に関してはその影響をどう評価するかが政策論争の焦点であると述べています。また、高技能移民の受け入れ拡大が長期的な財政健全化に資するとの研究結果も紹介し、移民政策は国家財政や経済成長に直結する重要な課題であることを示しています。
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