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学校への移民捜査を阻止せよ

公開日
2025-08-06
メディア
The Wake Weekly
記事要約
パンデミックから数年が経過した今、米国では若い子どもたちが再び学びの妨げに直面している――それは「移民当局による学校への強制捜査」だ。

トランプ政権は就任直後、バイデン政権が導入していた「学校や教会などの保護区域での強制執行を制限する」指針を撤廃。その結果、疑わしい理由による移民当局の学校への立ち入りが増加している。2024年春には、ロサンゼルスの小学校2校に移民局(ICE)の職員が「保護者の許可がある」として立ち入りを試みたが、後にその許可が虚偽だったことが判明した。

このような行動に対して、教育現場や議員からは強い批判の声が上がっている。子どもたちが恐怖にさらされることにより、出席率が下がり、教育の質や精神的健康への悪影響も懸念されている。

スタンフォード大学のトーマス・ディー教授の研究によると、カリフォルニア州セントラルバレー地域の5つの学区で、移民捜査が行われた後に生徒の欠席率が平均で22%上昇した。特に低学年の子どもに影響が大きく、全米の他の地域でも同様の傾向が報告されている。

さらに、カリフォルニアをはじめ多くの州では、公立学校への資金配分が「生徒の平均出席日数」に基づいているため、欠席が増えれば学校の予算も減少。これは該当生徒だけでなく、クラスメートや教師、地域全体に悪影響を与える。

移民捜査によって教育現場が受ける打撃は、パンデミックによる教育の遅れと同様に深刻である。専門家は、「学校に通うことそのものの経験」が根本的に変わりつつあると警鐘を鳴らす。

一方で、生徒や教育者には依然として権利がある。学校は、生徒に対して市民権や在留資格の提出を求めることはできず、それを理由に入学を拒否することも許されていない。ACLUの「MySchoolMyRights.com」では、学生や教師が自分の法的権利について学ぶことができる。

世論調査では、アメリカの有権者の過半数が「学校における移民捜査には反対」としており、これが安全の確保にはつながらず、かえって教育現場を危機に追い込んでいると認識している。

今こそ、生徒を守るために、移民局の学校へのアクセスを制限する法整備と透明性の確保を求めて声を上げる必要がある。すべての子どもが、恐れずに学べる安全な教育環境を享受できるようにすることが求められている。
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