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国内で最も人員不足の移民裁判所の内部

公開日
2025-08-13
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npr
記事要約
米国マサチューセッツ州のチェルムスフォード移民裁判所では、裁判官の大量解雇や退職により深刻な人員不足が生じ、移民裁判の延期が相次いでいる。弁護士や元職員によれば、予定された審理の多くが数年先(最長2029年)に再設定され、依頼人は長年待ってきた審理の機会を失いつつある。

同裁判所は2024年4月、ボストンの過密状態を緩和する目的で開設され、当初21人の裁判官配置を予定していたが、現在は7人(うち1人は退職予定、1人は他州に配置転換)に減少。開設時に移送された約7万件の案件に加え、全米では約370万件の移民裁判の未処理案件がある。

トランプ政権下では連邦政府の縮小と移民摘発強化が同時進行しており、EOIR(移民審査執行局)は全国で裁判官数をバイデン政権末期の700人から600人に減らした。チェルムスフォードでも解雇は理由が明示されないまま行われ、経験豊富な裁判官や元国土安全保障省検察官も対象となった。解雇・退職に伴い各裁判官の担当は約4,000件ずつ増加し、 tens of thousands の案件が宙に浮いている。

一部の裁判官は、他州の拘束中案件を優先するよう突然命じられたり、任期2年の試用期間終了直前に即日退職を命じられたりしており、長距離通勤や家族からの別居を伴って赴任した努力が「無駄になった」と証言する。多くが「移民制度を改善したい」という思いで職に就いたが、現状は人員削減と案件増加で司法機能が麻痺し、移民の適正手続きが損なわれていると懸念されている。
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