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英国の問題は移民によって引き起こされたのではない

公開日
2025-09-18
メディア
Financial Times
記事要約
「移民と庇護」が英国で最重要課題として浮上しているという最新の世論調査について、Tim Harfordは、個人の体験とデータの両方を見ないと誤った印象を抱きやすいと論じている。YouGovの調査では「移民と庇護」が2025年現在、国民が最も懸念する問題として挙げられており、2016年のEU離脱前以来初めてトップに返り咲いた。だが、Harfordは自身の経験を振り返ったとき、失業・税金・住宅・医療といった日々の問題が、移民・庇護問題と直接関係しているとは感じられないという。

世論には、移民の数・出身地・宗教・教育水準などについての誤解が多い。たとえば、北アフリカや中東からの移民の割合を過大評価したり、欧米や北米からの移民を過小評価したりする傾向がある。実際には、英国に住む外国生まれの人々は、働き盛りであることが多く、教育レベルも高めで英語能力にも優れており、税・社会保障制度への負担という観点でも必ずしも「重荷」にはなっていない。

もちろん、庇護制度のコストは近年急速に上昇しており、2013/14年には5億ポンド未満だったものが2023/24年には50億ポンドを超えた。だが、それはNHS(国民保健サービス)等の公共支出と比較すると大きくない。

Harfordは、「データを無視する不安」や「過度な物語化」が世論を左右しているとし、科学者・探検家アレクサンダー・フォン・フンボルトのように、感情や経験(experience)だけでなく、測定可能な事実(data)を共に大切にすべき、と主張している。英国の真の問題は、移民・庇護だけが原因ではないとする立場だ。
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