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英国は移民問題をめぐる議論を完全に誤解している

公開日
2025-08-26
メディア
TIME
記事要約
イギリスは現在、移民問題を巡り緊張が高まっており、多くの国民が社会が「火薬庫」のようだと感じている。実際に小規模な反移民デモも全国で起きているが、大規模な暴動には至っていない。しかし、政治家やメディアが排外主義的な感情を煽っていることが懸念されている。

移民は政治の最重要課題となっており、ナイジェル・ファラージ率いる改革党が支持を伸ばしている。ファラージは大量強制送還計画を打ち出し、次の総選挙で首相になる可能性も指摘されている。伝統的な政治家たちは対応に苦慮し、ロバート・ジェンリックなどは排他的な発言を強め、影響力のある右派グループと連携することもある。一方、労働党のキーア・スターマー首相もかつて「孤立した島になる」といった物議を醸す発言をし、過去の保守党政権の「オープンボーダー政策」を批判している。

実際の移民数は2023年のピークから半減しているものの、多くの国民は不法移民が多いと誤解しており、移民問題の現実と世論のギャップが深刻だ。政府は不法入国者対策を強化しているが、国民の懸念を払拭するには至っていない。

過激な右派の追随は過去のヨーロッパ諸国の例からも失敗に終わるリスクが高く、イギリスも同様の道を歩む恐れがある。しかしイギリスは多文化共生が進んでおり、根強い人種差別は一部の極端な層に限られている。

スターマー首相は過去の発言を反省し、移民の経済的・社会的貢献を強調し始めている。移民はイギリス経済に不可欠であり、移民の多くが就労し、社会保障を多く利用していないという事実をもっと広く伝える必要がある。

最も重要なのは、政治的・道徳的な議論を展開し、移民と多様性が過去半世紀のイギリス社会に良い影響を与えてきたことを国民に理解してもらうことだ。多くの国民が異なる人種や文化の人々と共に生活し、それがイギリスの強みであるというメッセージを強く打ち出すべきである。排外主義者が最も恐れるのは、多様性こそがイギリスの最大の強みであるという議論なのである。
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