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英国の個人資産移民:予算と「獲得定住」に関する協議

公開日
2025-12-08
メディア
Burges Salmon
記事要約
2025年の英国予算では、移民政策に関する新しい提案はほとんど見られず、重点は経済移民よりも難民制度改革に置かれた。投資家ビザの廃止後、その代替となる制度は依然として示されていない。予算における主な移民関連の内容は、2025年10月に公表された移民規則改正に関するもので、HPI制度の対象校の拡大、留学生がInnovator Founderに移行しやすくする措置、Global Talentビザの要件緩和や対象賞の拡大、主要分野の人材誘致を支援するタスクフォースの創設といった方向性が示された。一方で、革新的な事業を求められるInnovator Founderビザや、Skilled Workerを利用した自社スポンサー方式のような例外的な方法を除くと、企業家や投資家が英国に移住するための分かりやすい制度は存在していない。

同年11月に政府が公表した「Earned Settlement」の協議文書では、永住権取得の標準要件をこれまでの五年から十年に延ばす提案が示された。背景には、二〇二一〜二四年にかけて純移民が大きく増えたことが挙げられ、とりわけ医療介護分野のビザで入国した人が多数を占めている。すでに定住している者や英国市民の家族、EU Settlement Scheme対象者、BNO保持者などは協議の対象外となる。永住権は自動的な付与ではなく、品行、社会統合、英国への貢献、居住年数の四つの観点から評価され、これに応じて必要な居住期間が三年から二十年まで調整される。課税所得が一定以上ある者や、地域社会での活動歴がある者、あるいは高度人材ビザを所持している者には居住期間の短縮が認められる可能性がある。なお、これらの所得基準は将来の税制変更には連動せず、税や医療費などの未払いがある場合は対象外とされる。

英国の税制で四年間の外国所得優遇制度を利用する人は、永住申請前に必要な課税所得を確保しておくことが重要となる。さらに、英国税制上の長期居住者に該当すると世界の資産に相続税がかかるため、永住権の基準が引き上げられることで、より多くの人が相続税の課税対象になる可能性が出てくる。ただし、税務上の居住と移民法上の居住は同じ概念ではなく、個別の判断が必要となる。

今後は永住権や市民権申請が増え、内務省の処理能力が追いつかない可能性も指摘されている。市民権取得が奨励されているものの、二重国籍を認めない国から来ている移住者にとっては難しい選択となる。また、産休や育休、長期の疾病による休職者が今回の協議の対象から外れない点は、現行制度より厳しくなる可能性があるとみられている。
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