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移民収容センターにおける過剰な拘束は「深刻な懸念」だと報告書は指摘

公開日
2025-11-26
メディア
The Guardian
記事要約
英国の入管収容施設で、民間委託先の職員による過度な拘束や不適切な扱いが常態化していると、独立監視機関IMB(Independent Monitoring Boards)が「必要性と尊厳を見失った強制力の行使」と題する新報告書で警告した。報告書は、強制力が一貫性を欠き、過剰で正当化も不十分であり、脆弱な収容者の尊厳を著しく損なっていると指摘する。

特に病院搬送時の手錠使用が「例外ではなく常態」と化しており、70歳の虚弱な男性まで根拠なく手錠をかけられる例が確認された。また、「手錠を拒めば病院に連れて行かない」という運用は“強制の一形態”だと批判した。

報告書は他にも深刻な例を示す。自殺監視下にあった男性が裸同然で飛行機へ運ばれ、職員が交代で頭を押さえつけた事例は、収容者の尊厳を「深く侵害するもの」とされた。さらに、職員休憩室のホワイトボードには「ストレスの多い状況は犬のように扱え。食べられず、乗れず、排尿もできないなら、その場を去れ」と書かれており、IMBは組織文化の深刻さを示す例だとした。

また、訓練担当者が「自分の身を守ることしか考えない。比例性や会社の規則など気にしない」と述べた事例など、暴力的な風土が放置されていると報告書は批判する。

問題点として以下も挙げられた:

過度な拘束を避ける「デエスカレーション」の欠如

トラウマ経験者(拷問・人身取引被害者など)への配慮がない

記録の欠落・誤り・見直しの不備によるガバナンスの脆弱性

IMBは「拘束が例外ではなく日常化し、監督は弱く、収容者の尊厳が軽視されている」とし、文化改革と厳格な責任追及、トラウマに配慮した運用が急務だと強調した。

Serco(施設運営を受託する企業)は「根拠のない主張だ」と反論したが、医療支援団体Medical Justiceは「非常に危険で深刻な人権侵害が続いている」と非難。英国政府は「報告書を検討する」としつつ、難民・移民の大量送還を可能にする制度改革を進める方針を示している。
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