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英国の純移民数は、移民政策の強化を受けて減少した。

公開日
2025-11-27
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Pinsent Masons
記事要約
英国の国家統計局(ONS)が発表した最新データによると、2025年6月までの1年間の純移民は20万4千人となり、前年から約3分の2減、2023年3月のピーク時からは約8割減と大幅に落ち込んだ。専門家は、厳格化する移民政策によって労働力が大幅に縮小し、英国の労働市場や経済の需要を満たせるか懸念を示している。

純移民減少の主因は、外国人留学生と技能労働者に対する規制強化であり、特に留学生の帯同家族の大幅制限や、技能労働者向けの給与基準・技能要件の引き上げが大きく影響した。介護職でも2024年3月以降家族帯同が禁止され、留学生の帯同家族は2024年1月以降ほぼ全面禁止となった。2025年7月には技能労働者ビザの対象職種が絞られ、給与・技能要件がさらに引き上げられたほか、健康保険料(IHS)は2024年2月に大人1,035ポンドへ大幅増額されるなど、費用負担も増している。

さらに、2026年1月以降の英語力要件引き上げ、12月からの技能チャージ増額、2027年1月からの卒業ビザ期間短縮など、今後の制度変更も移民数のさらなる減少につながる見通しである。政府は英国の移民制度を「高技能重視」へ転換しているが、それが労働市場や経済の需要に見合うかは不透明だと専門家は指摘する。

また政府は、永住許可までの在留要件を原則10年に倍増する方針を示しており、2021年以降に英国に来た約200万人に影響する可能性がある。現在、制度改革の在り方や既存居住者への移行措置の必要性などについてパブリックコメントを実施中で、2026年2月26日まで意見が募集されている。
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