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移民、NHS、そして民営化の問題

公開日
2025-09-16
メディア
Electronic Immigration Network
記事要約
移民は再びイギリス政治の中心的な議題となっており、国民の関心も1974年の記録開始以来で最も高い水準に達しています。しかし、実際のデータは異なる側面を示しています。

2024年のイギリスの純移民数は前年比でほぼ半減し、主に就労・留学ビザや扶養家族に対する制限によるものです。長期的な移民数も100万人未満に減少しました。

移民の約47%は留学生で、教育・労働市場への貢献が期待されます。20%は就労ビザ、11%は扶養家族であり、多くの扶養者も実際に就労しており、特に医療・介護分野では不可欠な人材となっています。非EU移民は数年で英国の平均賃金以上の収入を得る傾向があります。

最近では、医療・介護ビザへの依存とその制限が議論の焦点です。人手不足を補ってきたこの制度への制限が、結果的にNHS(国民保健サービス)の民営化を促進する可能性が指摘されています。これは、政府が人材確保の難しさから民間委託に頼らざるを得なくなる懸念によるものです。

ただし、現在のところビザ政策が意図的にNHS民営化を進める手段であるという証拠はありません。政策の背景には、純移民数を抑制しようという政治的圧力が大きいと見られています。

結論として、移民は単なる「数」ではなく、経済成長・高等教育・医療福祉の根幹であり、その貢献を「負担」と捉えるのは不適切です。一方で、現行の移民政策が意図せずしてNHSの民営化を後押ししてしまうのではという懸念も無視できません。

問われるのは、移民がNHS改革の隠れ蓑として使われているのか、それとも単なるスケープゴートなのかという点です。
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