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ウィシュマさん裁判、20回目で初の証人尋問 当時の入管担当医「私に点滴する権限なかった」

公開日
2025-12-05
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記事要約
名古屋入管で収容中に死亡したスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)をめぐる損害賠償訴訟の第20回期日が名古屋地裁で開かれ、当時診療を担当した非常勤医師・新美岳氏が初めて証言した。新美医師は週1~2回入管の診療室で内科診療を行っており、2021年1月下旬からウィシュマさんの健康状態を診ていた。

初診では血液検査に大きな異常は見られず、尿検査のケトン体陽性は生理中のため再検査を指示したという。2月に入ってウィシュマさんは嘔吐を繰り返し、車椅子を使用していたとの支援者証言がある一方、新美医師は「車椅子の記憶はない」「顔色に問題はなかった」と述べた。外部病院での胃カメラ検査や整形外科診察でも異常は見つからなかった。

2月18日の尿検査結果では複数項目が「3+」となり、糖質不足・肝障害・腎障害の可能性が示唆されたが、新美医師は「飢餓状態かまでは分からない」とし、点滴についても「設備がなく、自分には権限がない」「経口摂取が可能で点滴の必要性は認めなかった」と述べた。精神的要因を疑い精神科受診を勧め、2月22日には訴えを受け急きょ栄養剤イノラスを処方した。

3月4日には対面診療をせず追加処方を行い、服薬状況から改善を期待していたが、その2日後の3月6日にウィシュマさんは死亡した。医師は「最後に会った際に死に至る兆候はなかった」と述べた。

国側の尋問後、原告側は検査結果の報告状況などを確認したが、時間配分の関係で深い追及は次回に持ち越した。妹のポールニマさんは「医師が真実を語ることを願う」と述べ、次回の尋問に期待を寄せた。
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