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入管施設で「餓死者」を生んだハンスト…被収容者らの“抵抗”に当局が加えている“非情な弾圧”の実態

公開日
2025-07-26
メディア
弁護士JPニュース
記事要約
日本弁護士連合会は、出入国在留管理庁が掲げる「不法滞在者ゼロプラン」に対し、保護されるべき立場にある外国人までも排除する可能性があり、多文化共生の理念や国際人権法に反するとして反対声明を発表した。この背景には、入管施設内での人権侵害が長年にわたって指摘されてきた実態がある。ジャーナリスト・平野雄吾の著書『ルポ 入管』では、2018年に大阪入管で発生した収容者17人の「監禁」事件が紹介され、蒸し暑く狭い部屋に24時間以上閉じ込められた実態や、要求が無視され続けた経緯が詳細に描かれている。これに対して入管側は「立て籠もり」であり、保安上の措置だと主張するが、収容者との間にある絶望的な認識のギャップが浮き彫りになっている。

また、入管施設では長期収容や劣悪な処遇に抗議して全国的にハンガーストライキが広がり、2019年には過去に例を見ない規模で実施された。ハンストの結果、健康を著しく損なう者も現れ、中には餓死に至ったケースもあった。特に大村入管センターでの40代男性の死亡は、適切な医療措置が取られなかった結果であり、医師の不在など入管側の体制不備も明らかとなった。それでも報告書は入管の責任を否定し、問題の本質はうやむやにされた。

さらに、ハンストにより一時的に仮放免された収容者が、わずか2週間後に再収容される事例が相次ぎ、入管当局がハンスト抑止のための「見せしめ的政策」を実行している実態が指摘されている。このような対応は精神的拷問と表現されることもあり、人道的観点から強い批判を浴びている。中には、ハンストを通じてやっと外部の医療を受け、命を救われた者もいたが、治療の遅れにより病状が進行していたケースもあった。

こうした事例の積み重ねは、入管行政における人権軽視の構造的問題を浮き彫りにしており、「不法滞在者ゼロプラン」の背後にある排除と管理の思想が、どれほど非人道的な結果をもたらしかねないかを象徴している。
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