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外国人の派遣社員39.9万人は「異常な数」...ビザ別に見ると分かる就労制度の抜け穴・問題点

公開日
2025-12-19
メディア
ニューズウィーク日本版
記事要約
日本では「不法滞在者の増加」や「外国人が社会保障にただ乗りしている」といった言説が広がりがちだが、実際には約240万人の外国籍就労者が、制度に基づいて日本の労働市場を支えている。その増加ペースはコロナ禍を除けば年間約20万人程度で、直近はやや増加しているものの、急激な流入ではない。

在留資格別では、技能実習生が最多で、次いで「技術・人文知識・国際業務」、永住者、留学生、特定技能、定住者が続く。永住者は長期就労者が中心で、定住者は日系人が多い。

とくに問題視されているのが「技術・人文知識・国際業務」ビザで、本来はホワイトカラー向けの資格であるにもかかわらず、派遣労働などに使われ、職務管理が不十分なケースが多い。外国人派遣労働者は約40万人にのぼり、派遣労働者全体の4分の1以上を占めるなど、制度運用として「異常な状態」にあると指摘されている。本来、外国人就労は日本人以上に厳格な管理が必要であり、この分野の規制強化が急務とされる。

一方、日本は長らく単純労働での外国人就労を認めてこなかったが、人手不足の深刻化を背景に、技能実習制度という「抜け道」的制度が作られ、その後、2019年に特定技能制度が創設され、現業職を含む幅広い分野で外国人就労が正式に認められた。

技能実習制度は、研修名目と実態の乖離や制度の歪みが大きく、長年批判を受けてきた。特定技能制度の導入によりその役割は薄れ、2027年からは「育成就労制度」へ移行し、制度の矛盾を是正する方向に進んでいる。

総じて、日本の外国人労働問題の本質は「外国人が増えすぎていること」ではなく、一部在留資格、とりわけ派遣を通じた雇用管理の甘さにあり、制度設計と運用の見直しこそが重要であると論じられている。
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2024-07-09
入管政策,入管法,難民認定,永住者.育成就労,技能実習