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英国は移民収容施設で脆弱な立場にある人々を保護できていない:医療司法年次報告書

公開日
2025-10-13
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Oxford Law Blogs
記事要約
Medical Justiceの2024年の年次レビューによると、英国の移民拘留施設における医療や安全管理の不備が、被拘留者の健康や安全に深刻なリスクをもたらし続けていることが明らかになった。政府は拘留能力の拡大や強制送還の加速を計画しているが、既存の保護体制の欠陥により、脆弱な人々への被害リスクはさらに高まると指摘されている。

レビューは、2024年にMedical Justiceの臨床医が評価した拘留者73人の統計や医療報告書を基に作成され、拷問や人身取引の経験、精神・身体の健康問題など、拘留中に特に危険にさらされやすい要因を明らかにしている。また、健康状態の悪化、自殺リスク、医療提供や保護体制の機能不全、隔離や力の不適切な使用も指摘された。

主な調査結果は以下の通り:

対象者の82%が拷問経験者、63%が人身取引の経験者であったが、到着時の健康スクリーニングでは拷問経験者の77%、人身取引経験者の89%が見逃されていた。

99%が少なくとも1つの精神疾患を有しており、多くは新たに診断されたもので、拘留中の医療で見逃されていた。

97%の精神状態が拘留中に悪化、74%が自殺リスクの上昇を示し、23%が自傷行為を行い、3人が自殺未遂。

Rule 35に基づく保護報告書が作成されたのはわずか6%。

精神疾患を持つ被拘留者は長期にわたり隔離され、53%は規則で義務付けられた毎日の医師訪問を受けていなかった。

16人に対して力が使用され、そのうち2人は頭部や首に力が加えられた。

最終的に90%が釈放されており、拘留の正当性が疑問視される。

Medical Justiceは、移民拘留制度の廃止と、信頼できる地域ベースの代替策の導入を提言。現状の被害リスクを低減するためには、Brook House Inquiryの33の勧告を速やかに実施し、現在進行中の「拘留中のリスクがある成人」政策の見直しで保護措置を強化する必要があると述べている。
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