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政府の移民計画が直面している課題とは?

公開日
2025-05-13
メディア
BBC
記事要約
英国では過去15年間にわたり、移民数の削減が政権の主要な公約とされてきたが、実際の移民数は高水準を維持している。2023年6月時点では純移民数が過去最高の90万6,000人に達し、2024年には72万8,000人に減少したものの、依然として多い水準にある。財政責任局の予測では今後さらに減少し、議会任期末には約31万5,000人になるとされているが、これも過去10年の多くの年を上回っている。

移民の主な目的は学業と就労であり、特に医療・介護分野での外国人労働者への依存が顕著だった。しかし、前政権の規制強化によりこの分野のビザ申請は減少しており、今後の移民統計にも反映されるとみられる。一方、介護分野では未だに深刻な人手不足が続いており、外国人採用の制限が現場に与える影響が懸念されている。低賃金が国内労働者の就労を妨げており、待遇改善が必要だが、それは財政負担や増税につながる可能性もある。

経済成長との関連では、移民がGDPを押し上げる可能性はあるものの、1人あたりの成長(生活水準)への効果は不確実とされており、政府はこの点に特に注目している。留学生も移民数を押し上げる要因となっているが、大学の財政を支える存在でもあるため、大幅な制限は高等教育機関の経営に悪影響を与える恐れがある。

高度技能を持つ外国人労働者の受け入れは継続する方針だが、政府は業界の「安価な海外労働への依存」を問題視し、国内人材育成への転換を求めている。ただし、エンジニアなどの分野では訓練制度が縮小傾向にあり、即座の代替は難しい。技能教育には新たな公的支出が必要であり、これも財政的な課題となる。

全体として、移民削減政策は一見単純な問題のようでありながら、介護、教育、産業、財政の多岐にわたる分野に影響を与える複雑な課題である。
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