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報告書は、移民規制の強化が英国のネットゼロ計画に打撃を与える可能性があると警告している。

公開日
2025-06-17
メディア
The Guardian
記事要約
イギリスのシンクタンク「欧州改革センター(CER)」は、政府の新たな移民規制が、英国のネットゼロ(温室効果ガス排出量実質ゼロ)達成に悪影響を与える可能性があると警告しています。

労働党が発表した新たな移民政策では、技能労働者ビザの取得要件を「Aレベル(高校卒業相当)」から「大学学位」に引き上げ、年収最低ラインを38,700ポンドに維持するとしています。

CERの報告によると、現在英国で「グリーンジョブ(環境関連の仕事)」に従事する外国人労働者の半数以上(26万人/46.5万人)が、新ルールの下では入国できなかったと試算されています。グリーンジョブの多くは建設業に集中しており、住宅の断熱やヒートポンプの導入などが含まれます。

CERは、これにより労働力不足が深刻化し、住宅の脱炭素化コストが上昇し、一般家庭の省エネ対策が進まなくなると指摘。また、住宅建設の目標(今議会期間中に150万戸)達成も困難になる可能性があるとしています。

労働党は、特定職種を対象に一時的に低賃金でも入国可能とする「一時的不足職種リスト」を導入予定ですが、これが長期的な搾取や移動の自由の制限につながるリスクも指摘されています。

報告書では、ネットゼロ達成に寄与する職業に特化した「グリーンビザ」の創設や、経済全体での賃金・スキル要件の緩和なども提案されています。

政府は「国内労働力の強化と海外依存の解消を図る包括的な改革」としており、建設業向けに6億ポンドを投じて2029年までに6万人を育成する計画などを発表しています。
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