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“不法就労”の「外国人労働者」が日本経済を支えてきた? 入管も“黙認”してきたが…「取り締まり強化」に舵を切った“ターニングポイント”とは

公開日
2025-08-24
メディア
弁護士JPニュース
記事要約
この記事は、日本における非正規滞在外国人と入管行政の関係を、歴史的な流れの中で描き出している。1980年代後半、バブル期の人手不足の中で在留資格を持たない外国人労働者は建設や農業、製造などで不可欠な労働力となり、入管や警察もその存在を把握しながら黙認していた。だが1990年の入管難民法改正以降、日系人に広く就労資格を与える一方で非正規滞在者の排除が強まり、技能実習制度の創設とあわせて「合法的な労働者」と「排除すべき不法滞在者」との線引きがなされた。2000年代には警察が不法滞在を治安問題と結びつけるようになり、2004年からの「不法滞在者半減計画」では強制送還だけでなく、大量の在留特別許可の付与によって数を減らした。ところが2009年以降は許可の運用が厳格化され、収容や退去強制を免れない人々が増えていく。

この過程の根底には1978年のマクリーン判決がある。最高裁は外国人の受け入れは国家の自由であり、法相の裁量は広範で、外国人の人権は在留制度の枠内に限られると判断した。この枠組みが今日まで入管行政の裁量を正当化し、透明性の欠如や恣意的な判断を生み出している。とりわけ在留特別許可は基準が明文化されながらも「基準ではない」とされ、許可の可否は時期や担当官の判断に大きく左右されてきた。

結果として、日本は非正規滞在者を労働力として必要としながらも、制度上は彼らを違法として排除し続けるという矛盾を抱えている。治安や主権を理由に排除が強調される一方、人道や家族の権利への配慮は弱く、国際基準に照らしても人権尊重の面で大きな遅れがあることが指摘されている。
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2024-07-09
入管政策,入管法,難民認定,永住者.育成就労,技能実習