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(The Sydney Morning Herald)トランプ氏が支持した陰謀論は、いかにしてオーストラリアで主流となったのか

公開日
2026-08-12
メディア
The Sydney Morning Herald
記事要約
記事は、オーストラリアで極右的な反移民言説が政治の主流に入りつつあることに警鐘を鳴らしている。One Nationが世論調査で支持を伸ばし、自由党も移民受け入れを2009年以来の低水準に抑える方針を示す中、「移民による侵略」「グレート・リプレイスメント(大置換)」「リマイグレーション(再移住)」といった極右の概念が政治的影響力を強めているという。

「グレート・リプレイスメント」論は、左派やユダヤ系エリートが移民、とりわけ非白人やイスラム教徒を大量に受け入れ、白人の政治的・文化的支配を失わせようとしているという陰謀論である。記事は、トニー・アボット元首相らの発言にもこうした考え方との接点がみられると指摘する。また、この陰謀論は単なる政治的主張にとどまらず、人種的動機による大量殺人を誘発してきたとし、2019年にニュージーランド・クライストチャーチでイスラム教徒51人を殺害したオーストラリア人銃撃犯もその影響を受けていたと説明する。

その延長にある「リマイグレーション」は、非白人の移民やその子孫を、合法的居住者や国民であっても西側諸国から大量に排除するという思想である。One Nationのマルコム・ロバーツ上院議員やポーリン・ハンソン党首も、移民を本国へ送り返す政策に肯定的な発言をしている。記事は米国のトランプ政権による移民政策も取り上げ、移民削減によって2028年までに米国の労働力が680万人減少し、経済成長や生活水準に悪影響を及ぼすとの試算を紹介している。

一方、オーストラリアで語られる「大量移民」の数字について、記事は誇張があると批判する。ハンソン氏が年間約73万9000人の移民を受け入れていると主張した数字は、コロナ後の帰国者が集中した2022~23年度の特殊な値であり、出国者を差し引いた純移民は51万8000人だった。その後は減少し、2024~25年度には30万6000人となった。しかも半数以上は投票権を持たない一時滞在の留学生である。

記事は、移民を脅威として捉える政治的言説と実際の人口統計には大きな隔たりがあると結論づける。オーストラリアでは医療従事者の約40%を移民が占め、地方ではその割合がさらに高い。移民排斥を強めれば、必要な技能人材が不足し、経済や医療など社会を支える基盤そのものを弱体化させる可能性があるとして、移民政策を陰謀論や恐怖ではなく事実に基づいて議論する必要性を訴えている。
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