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(東京財団)【論考】在留資格「技人国」をめぐるトラブルは何を示しているのか―賃金未払い・突然の解雇から考える雇用責任と在留リスク

公開日
2026-07-01
メディア
東京財団
記事要約
本稿は、在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」で派遣・請負として働く外国人が抱える構造的なリスクについて、愛知県豊田市と静岡県掛川市周辺で発生した二つの事案をもとに考察している。豊田市では派遣会社による賃金未払い、掛川市周辺では派遣会社の倒産により、多数の外国人労働者が失職し、未払い賃金や離職票の未交付など生活基盤を失う事態となった。多くは「技人国」の在留資格で働いており、雇用喪失は生活だけでなく、転職や在留資格更新にも影響を及ぼした。

「技人国」は専門的・技術的分野の人材を対象とする制度であるが、在留資格を取得したこと自体が労働市場での評価や転職能力を保証するものではない。特に派遣労働では、職務経験や企業との人脈が本人に蓄積されにくく、派遣会社が労働市場との唯一の接点となりやすい。そのため、派遣会社が破綻すると仕事だけでなく、次の就職先を見つけるための基盤も同時に失われ、雇用リスクが在留リスクへ転化しやすい。

また、雇用主、派遣先、仲介機関、在留資格申請関係者、行政などに責任が分散しているため、倒産や賃金未払いが発生すると、離職手続きや社会保険、再就職支援などの対応が滞り、その負担が外国人労働者に集中しやすい。問題は「技人国」制度そのものではなく、制度上の専門職性と実際の働き方との乖離、および雇用と在留資格を支える責任主体が不明確になりやすい構造にある。

豊田市と掛川市周辺の事例は、派遣会社の経営悪化が外国人労働者の生活、雇用、在留資格に連鎖的な影響を及ぼすことを示している。今後は賃金回収だけでなく、離職手続き、転職支援、在留資格維持まで含めた制度的な支援体制の整備が重要である。
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