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(Le Monde)EU議員らは、いわゆる「帰還拠点」の設置を可能にする移民改革を承認した。

公開日
2026-06-17
メディア
Le Monde
記事要約
欧州議会は6月17日、不法滞在者の送還を強化する新たな移民制度改革案を賛成418、反対218で可決した。改革の柱は、EU域外に「リターン・ハブ(送還センター)」を設置できるようにすることと、送還対象者に対する拘束・監視権限を大幅に強化することである。今後、加盟国による正式承認を経て発効する見通しだ。

新制度では、滞在資格のない外国人をEU域外の第三国に設置する送還施設へ移送できるようになる。ギリシャ、デンマーク、オランダ、オーストリア、ドイツなどは既に設置を検討しており、ギリシャ政府は2026年中の協定締結、2027年の運用開始を目指している。また、送還命令を受けた外国人には当局への協力義務が課され、逃亡のおそれや治安上のリスクがあると判断された場合には最長2年間の収容が可能となる。

EU各国では近年、移民問題への国民の不満が高まり、右派・極右政党が勢力を拡大している。EUでは送還命令を受けても実際に帰国する割合が3割未満にとどまっており、改革推進派は送還の実効性向上と不法移民抑止効果を期待している。欧州委員会のブランナー移民担当委員は「誰がEUに滞在できるかは密航業者ではなくEUが決めるというメッセージだ」と強調した。

一方、人権団体や左派勢力は強く反発している。送還センターは事実上の「域外収容所」になりかねず、人権侵害の危険があると批判する。新制度では当局が不法滞在者の住居や関連施設を捜索し、所持品を押収できる権限も認められるため、監視や拘束の強化が過度であるとの懸念も示されている。批判派は、英国のルワンダ移送計画やイタリアのアルバニア施設が法的問題に直面した例を挙げ、送還センターの実効性にも疑問を呈している。

今回の改革は、欧州移民政策が従来の「統合重視」から「送還と管理強化」へと軸足を移しつつあることを象徴するものであり、EU内の移民政策を巡る対立の深さを改めて浮き彫りにした。
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