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カナダの人口減少は移民に対する態度の悪化を反映している

公開日
2025-12-18
メディア
The Guardian
記事要約
カナダで移民に対する世論が悪化し、移民政策が大きく転換している状況を分析した記事である。かつて移民を経済成長の柱と位置づいてきたカナダは、近年、国際学生や一時滞在者の急増を受けて政策を引き締め、留学許可の大幅削減、外国人労働者の受け入れ抑制、強制送還の増加などを進めてきた。その結果、2025年夏には人口が四半期ベースで0.2%減少し、これは新型コロナ禍を除けば50年以上で初めての人口減少となった。

背景には、移民急増が住宅不足やインフラの逼迫、生活費高騰と重なり、国民の不満が高まったことがある。世論調査では、移民水準への懸念が過去数十年で最も高い水準に達しており、とりわけ保守党支持層で否定的な見方が強い。移民問題は、従来の文化的同化を巡る議論から、生活費や住宅といった経済的負担の問題へと焦点が移っている。

専門家は、現在の人口減少は「急激な受け入れ拡大への調整」と見る一方、人口成長の鈍化は中長期的に経済成長の重荷になる可能性があると指摘する。また、難民申請の処理に最長10年かかるケースもあり、制度の機能不全が露呈している。新政権は移民数を国の受け入れ能力に見合った水準に調整するとしているが、移民政策を巡る対立は政党間で深まり、カナダ社会の分断要因になりつつある。
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