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2025年の移民動向:雇用主にとっての意味

公開日
2025-07-02
メディア
McMillan LLP
記事要約
カナダ連邦政府は、移民政策を大きく転換し、2025年までに一時滞在者数を36万7,750人に削減し、初回申請者の労働許可証の数を制限する方針を示しました。カーニー首相は、2027年までに就労・就学許可保持者の数をカナダ人口の5%未満に抑える目標を掲げており、これは従来の年間50万人の移民受け入れ計画からの大幅な方針転換となります。このような政策変更は、規模や業種にかかわらず、外国人労働者に依存してきた多くのカナダの雇用主に影響を与えることになります。

特に、これまでポスグラビザ(PGWP)を持つ国際学生を雇用してきた企業や、オープンワークパーミットの活用に慣れていた企業にとっては、今後より複雑で厳格な雇用手続きが求められることになります。加えて、労働許可証の延長にはオンライン申請が原則となっており、現在の処理期間は約196日と非常に長くなっています。労働許可が失効する前に申請を行えば「維持ステータス」が適用され、同条件での就労継続は可能ですが、その間に医療保険の対象外となる可能性があるなど、労働者にとっても不安定な状況です。

また、IRCCの処理センターでは、最近では適格な申請者に対しても誤って不許可の判断が下される事例が増えており、企業側は予期せぬ人材喪失に対応を迫られています。仮に許可が出たとしても、事務的ミスにより追加対応が必要になることも多く、企業にとっては計画が立てづらい状況が続いています。

さらに、政府は企業に対する移民法上の遵守義務を強化しており、違反が発覚した場合には最大10万ドルの罰金や、プログラムからの排除、公表などの厳しい制裁が科される可能性があります。監査は労働許可の発行から6年間可能であり、IRCCは監査体制への投資を強化しており、違反件数や罰金額も前年より倍増しています。

加えて、現在審議中の「強い国境法(Bill C-2)」が成立すれば、政府は労働許可申請を一時停止・終了したり、条件を変更・取消したりする広範な権限を持つことになります。これにより、外国人雇用に対する不確実性がさらに高まることが懸念されています。

こうした状況を受け、企業は早急に外国人労働者の在籍状況を把握し、現在の許可証の種類や更新可能性を調査する必要があります。また、移民法へのコンプライアンス強化、内部監査や教育の実施、自主的な開示の検討など、事前のリスク管理が重要です。今後の制度変更に柔軟に対応するためにも、企業は専門家の助言を受けながら、長期的な人材戦略を構築することが求められています。
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