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アイルランド、人口増加抑制のため移民規制を強化

公開日
2025-11-26
メディア
ALJAZEERA
記事要約
アイルランド政府は、急速な人口増加と難民申請者の増加が住宅や公共サービスに大きな負荷を与えているとして、移民・難民制度の大幅な見直しを発表した。ジム・オキャラハン法相は、直近の人口増加率がEU平均の7倍にあたる1.6%に達したことを「懸念すべき」と述べた。

アイルランドの人口は2025年4月時点で約546万人。純移民は2022年以降ほぼ倍増し、年間7万2千人規模となっている。就労ビザ、家族呼び寄せ、ウクライナ避難民の受け入れが増加の一因となっている。また、2024年の難民申請は1万8,651件と過去最高で、前年から大幅に増えた。

こうした状況に対する国民の不満は、抗議活動や暴動として表面化している。2024年には、難民受け入れ施設のあるホテルで児童への性暴行疑惑が報じられた後、ダブリンで1,000人規模の反移民デモが警察と衝突した。

今回の改革は近年で最も大きな制度変更で、主な内容は以下の通り。

就労している難民申請者に対し、週収入の10〜40%を国の宿泊費に充当させる(対象は約7,500人)。

家族呼び寄せの所得基準を引き上げ、申請者は中位所得(約4.4万ユーロ)以上を証明し適切な住居を確保することが必要。

難民の市民権取得基準を厳格化し、必要居住年数を3年から5年に延長。特定の福祉給付の長期受給者は対象外。

国家安全保障上の脅威と判断された場合や重大犯罪で有罪となった場合、難民認定を取り消す権限を政府に付与。

一部の留学制度が長期滞在目的で濫用されているとして、学生ビザの規制強化も検討中。

また、英国が難民制度を大幅に見直した影響により、アイルランドへの移動が増える可能性が指摘されている。実際、アイルランドで難民申請する人の約9割は北アイルランド(英国領)経由で入国しているという。

政府は、英国の動向がアイルランドの移民流入に与える「連鎖的影響」を踏まえ、さらなる対策が必要だとしている。
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