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外国人「経営管理ビザ」厳格化…在日中国人たちの反応は?移住希望の悪用を管理できるのか

公開日
2025-10-20
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Wedge
記事要約
出入国在留管理庁は2025年10月16日、外国人が日本で起業する際に必要な経営管理ビザの取得要件を大幅に厳格化した。背景には、一部で同ビザが日本への移住目的で不正に利用されている実態がある。新たな要件では、少なくとも1人以上の常勤職員を雇用する義務、資本金3000万円以上、申請者または雇用者の日本語能力、学歴や経営経験の証明、そして専門家による実現可能な事業計画書の評価が求められるようになった。これまで雇用義務や明確な日本語要件はなく、資本金も少額で済んでいたため、改正後は格段にハードルが上がる。

経営管理ビザの取得者は2015年の約1万8000人から2024年には4万人を超え、そのうち半数が中国人である。中には実際の事業活動を行わず、ペーパーカンパニーを登記して在留資格だけを得ていた例も多く、国会やメディアで問題視されていた。中国のSNSでは、仲介業者が「経営管理ビザで日本移住する方法」を宣伝し、赤字を出さなければ維持できると安易に考える人も多かったという。実際に取得者の多くは、貿易、飲食、マッサージ、民泊、不動産賃貸など小規模事業を展開しており、中には日本語が不自由なまま在日中国人に経営を任せているケースもある。

今回の改正により、新規申請は大幅に難しくなり、既存の取得者にも3年間の猶予期間が設けられた。今後は、事業実態や新基準を満たせる見込みが更新時の判断材料となる。特に日本語要件は、多くの中国人申請者にとって大きな課題となりそうだ。改正のきっかけとなったのは、一部の不正利用者による制度の形骸化であり、政府はこうした悪用を抑止する狙いを持つ。一方で、中国人社会ではこの厳格化を歓迎する声もあり、「不正を行う人を排除することで、まじめに暮らす人々への偏見が減る」との意見が出ている。

経営管理ビザは本来、日本で事業を営む人のための制度であるため、今回の改正は本来あるべき形への是正とも言える。ただし、中国のSNSではすでに新制度を回避する方法を探る動きも見られ、制度と抜け道のいたちごっこが続く可能性もある。いずれにしても、今回の厳格化は不正防止には一定の効果をもたらし、日本に真剣に根を下ろして事業を行う外国人を選別する契機になるとみられている。
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2025-09-04
経営・管理,共生