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外国人犯罪が急増? 日本の治安は悪化した? 専門家に聞くデータでわかること・わからないこと

公開日
2026-01-27
メディア
日本ファクトチェックセンター
記事要約
SNS上で拡散する「外国人によって日本の治安が悪化している」という言説について、日本ファクトチェックセンター(JFC)は犯罪統計を基に検証を行った。当初は「ミスリードで不正確」と判定したが、2024年の最新データの見落としが判明し、2026年1月にその判定を撤回した。ただし、単純に「正確」とも言えないとして、より丁寧な分析が必要だと結論づけている。

実際、来日外国人の検挙件数は2023年、2024年と2年連続で増加し、2024年はコロナ前を大きく上回る水準となった。しかし、検挙件数だけでなく、検挙人員の増加率や、外国人入国者数が急増していること、日本人を含む全体の犯罪件数も増えていることを考慮する必要がある。

犯罪学の専門家・津島昌寛教授は、「外国人の犯罪率は日本人の1.72倍」という政府答弁について、年齢・性別構成を補正すると約1.36倍になると指摘し、単純比較の危険性を強調した。また、警察統計は通報されない犯罪(暗数)や短期滞在者による犯罪を十分に反映しておらず、数字だけで実態を判断することは難しいと述べている。メディア報道やSNSが体感治安を悪化させている側面も大きいという。

橋本直子准教授は、外国人増加と治安悪化の間に直接的な因果関係は国際的にも確認されていないとし、増えている犯罪の多くは窃盗であり、凶悪犯罪が急増しているわけではないと説明した。一方で、文化や生活習慣の違いによる摩擦が「体感治安の悪化」として受け止められている可能性を指摘し、日本語教育や生活オリエンテーションの義務化など、積極的な介入の必要性を提案している。

日本政府は「移民政策を取らない」としながらも、実際には長期・短期を問わず外国人は増加し、労働や社会保障を支える存在になっている。こうした現実と政策の乖離を踏まえ、どのような外国人を、どの条件で受け入れ、社会にどう統合していくのかという「包摂的な社会づくり」が問われている。

本記事は、外国人受け入れ拡大を主張する意見ではなく、外国人と治安をめぐる議論について、統計の読み解き方とその限界を共有し、冷静な理解を促すことを目的としている。
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