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西洋が背を向けると、アジアは扉を開く

公開日
2025-12-12
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THE PIE
記事要約
長年、世界の学生は米国、英国、欧州を高等教育の主要な留学先としてきたが、近年その前提が揺らぎ始めている。西側諸国では移民政策の厳格化が進み、留学生が政治的議論の対象となり、「歓迎されていない」という印象を与えている。

米国では、留学生が自国学生の機会を奪っているとの主張のもと、学生ビザ手続きの停止や多数国籍への入国制限が行われ、大学や経済への悪影響が認識されながらも規制が強化されている。英国でも、留学生が移民統計に含められ、家族帯同の禁止などが実施され、大学財政は悪化し、学科閉鎖や人員削減が相次いでいる。オランダなど欧州各国でも、留学生削減や自国語教育優先の動きが見られる。

一方で、アジアや中東では留学生受け入れを成長戦略として積極的に進めている。カザフスタンは教育投資を大幅に拡大し、2039年までに15万人の留学生受け入れを目指している。マレーシアやドバイも野心的な目標を掲げ、留学生数を急増させている。

また、従来の「西側が主導し、アジアが受け入れる」一方向型の大学提携は持続可能でなくなり、相互尊重と共通利益に基づく協力が求められている。現在では、清華大学やシンガポール国立大学など、世界トップクラスの大学がアジアにも数多く存在する。

著者は、西側諸国が留学生を「移民問題」として扱い続ければ、授業料収入だけでなく、知的交流やイノベーションの機会を失うと警告する。高等教育の将来は地理ではなく、知の創出、人材育成、価値観、国際的ネットワークによって決まる。学生は歓迎され、価値を認められる場所を選び、今後はロンドンやニューヨークと同様に、クアラルンプール、ドバイ、アスタナが選択肢となる時代が到来している。
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