世界の移民・難民
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事実は明白だ。ヨーロッパは移民に門戸を開かなければ、自らの消滅に直面することになる。

公開日
2025-12-12
メディア
The Guardian
記事要約
欧州委員会の出生率データによれば、EUの合計特殊出生率は1.38、英国は1.44と、人口維持に必要な2.1を大きく下回っており、欧州社会は数学的に人口減少へ向かっている。これは価値判断の問題ではなく、避けられない人口動態の現実である。
一方、トランプ政権は「文明の消去(civilisational erasure)」という言葉を用い、移民が欧州文明を破壊すると主張するが、実際には移民なしでは社会そのものが存続できない。彼らの言う「文明」とは白人中心の排他的概念であり、出生率が極端に低い国(例:ポーランド)こそ、移民を受け入れなければ国家として立ち行かない。
そもそも「純粋な西洋文明」など存在せず、言語、食文化、科学、芸術、富の多くは他地域との交流や移動によって形作られてきた。歴史的にも、異文化の受容こそが社会を強くすることは知られており、11世紀のハンガリー王シュテファン1世も、多様性の重要性を説いている。
著者が危惧する真の「消去」とは、人種や文化の問題ではなく、出生率低下による社会そのものの消滅である。出生率は一度2.1を下回ると回復せず、政府の奨励策や規制でも大きく変えられない。繁栄が進むほど子どもを持つ機会費用が高まり、出生率は下がるという傾向は長期的かつ不可逆的である。
環境理由で人口削減を唱える議論も、人口増減がすでに過去の出生構造によって決まっているという人口学的現実を無視している。現在の人口増加は出生率上昇ではなく、寿命延伸と乳幼児死亡率低下によるものであり、今後はいずれ急激な人口減少に転じる。
この流れを大きく変えられる唯一の方法は、前例のない大量殺戮しかないという点で、人口動態は冷酷なまでに非情な数学に支配されている。皮肉にも、自称「出生奨励主義者」であるイーロン・マスクによるUSAID解体は、数百万人規模の死者を生む可能性があるとされ、「産むこと」を重視しながら「生き延びること」への関心を欠いていると著者は指摘している。
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2025-11-14
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