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政府は不法移民と難民に関する公約を果たしているだろうか?

公開日
2025-06-13
メディア
BBC
記事要約
イギリス政府は、違法移民の対策と庇護(難民)制度の改革を重要政策に掲げ、特に庇護希望者用ホテルの廃止、人身密輸組織の壊滅、庇護申請のバックログ解消、不法滞在者の送還強化を中心に取り組んでいる。

庇護ホテルについては、労働党が税金の節約を理由に2029年までの廃止を公約しているものの、実際には2025年3月時点でのホテル滞在者数が前年より増加しており、ホテル数自体も増えている。小型ボートでの庇護申請者の急増により、他の宿泊施設の供給が追いつかず、ホテル利用が続いているのが現状だ。

密入国に関しては、2025年の小型ボートによる渡航者数が前年同期比で約3割増加しており、政府は密輸組織の摘発を強化しているが、進捗の具体的な評価基準や達成時期は明確でない。フランスとの協力により、渡航阻止の成果は報告されているが、再渡航の有無などの追跡は不十分である。

庇護申請に関しては、申請件数の減少と処理件数の増加により、未処理案件(バックログ)は縮小しつつある。しかし、却下された庇護申請に対する控訴件数はむしろ増加し、2025年3月には過去最多の約5万件に達している。

不法滞在者の送還については、政府が新たな執行ユニットを設けて体制を強化した結果、送還数は前年比で増加している。ただし、その多くは自主的な出国であり、政府による強制送還は一部にとどまっている。それにもかかわらず、政府はしばしばこの全体の数字を「送還」「強制退去」として説明しており、実態とは乖離がある。

全体として、イギリス政府は移民制度の改革に向けた取り組みを強化しているものの、目標と現実との間にはまだ大きなギャップが残されている。進捗の透明性や効果測定の明確化が今後の課題といえる。
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