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英国の移民制度改革に対するイラン難民の声:国外にいる者はひるまない、国内にいる者は不安

公開日
2025-11-20
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IRANWIRE
記事要約
英国政府が大幅な難民制度改革を発表したが、国内に既にいる難民申請者の間では強い不安と混乱が広がっている一方、英国外で入国を目指す移民にはほとんど影響を与えていない。

シャバナ・マフムード内務大臣が導入した新政策はデンマーク方式を参考にしたもので、英国での永住取得までの期間を現在の5年から20年へ延長し、ヨーロッパ最長とする点が中心。難民として認定されても最初の在留許可は30か月に短縮され、2年半ごとに保護が必要かどうか再審査され、必要性がなくなれば送還対象となる。また、働けるのに働かない難民申請者は週49.18ポンドの手当や住居提供を受けられなくなる。

フランスなどで英国行きを目指す移民たちは、政策変更への関心が極めて薄く、「まず海峡を渡ることが重要」と捉えている。危険や迫害からの脱出が最優先で、入国後の制度変更は抑止力になっていない。

一方、英国に既に到着して長年審査を待ち続けている人々にとっては深刻な問題であり、生活基盤や子どもの教育など「築きかけた生活」が揺らぐ可能性があるため、コミュニティ内で混乱と誤情報が横行している。SNSでは不正確な解釈が広まり、教会や地域センターでも誤った助言が共有されている。

マフムード内相には移民出自であることを理由にした人種差別的な中傷も向けられ、一部の難民申請者からは「移民家庭出身の大臣がなぜ厳格化するのか」という失望の声も上がっている。

多くの難民は、この改革が移民抑止策として効果を持つとは考えておらず、「戦争や飢餓から逃げる人に20年の永住待ち時間は抑止にならない」と指摘する声もある。また、30か月ごとの在留更新では未来を描けず、勉強や子育て、経済的投資が困難になるという不安も強い。

改革の実施基準、特に「どの国を安全とみなすか」といった点についても疑問が呈されている。国外、特にイランでも、今回の改革が将来のビザ取得後の難民申請に影響するのか議論されているが、中には「この改革は最終的に承認されない」と主張する者もいる。
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