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「永住者でも生活保護の法的権利なし」最高裁判決が残した“課題”…自治体の「裁量」頼みで生じる“外国人保護”の限界とは【行政書士解説】

公開日
2025-11-10
メディア
弁護士JPニュース
記事要約
日本の最高裁は、2001年の「宋訴訟」と2014年の「永住外国人生活保護訴訟」において、外国人は生活保護法上の受給権(法律に基づく権利)を持たないと判断した。生活保護法は対象を「国民」に限定しているためである。

しかし実務では、永住者や定住者など適法に滞在し、日本で生活基盤を築く外国人に対しては、1954年通知に基づき「行政措置としての事実上の保護」が行われている。給付内容は日本人に準じるが、これは法的権利ではなく、行政の裁量に依存しているため、不支給に対する法的争いが難しいという問題がある。

2000年の地方分権改革により、1954年通知は自治体に対する「技術的助言」と位置づけられ、自治体は保護の実施に関して一定の裁量を持つようになった。そのため、排外的圧力を背景に外国人保護を縮小しようとする動きも一部で見られる。

自治体は外国人保護の正当性を、①禁止規定がないこと、②地方自治法232条の2に基づく「公益上必要な補助」であること、③外国人も地域の「住民」であり生活安定は地域全体の利益につながること、の三点から説明している。

しかし財政負担や政策圧力により、自治体間で対応に格差が生じ、居住地によって外国人の生活が守られるかどうかが左右されるリスクが生じている。これは「生存権保障の平等」という観点から重大な問題である。

そのため、適法に滞在する外国人に対する生活保障について、行政措置ではなく法制度として明確に位置づける「保護の法制化」が求められている。この議論は、外国人に限らず「憲法25条に基づき最低限の生活を国がどう保障するのか」という、日本の生活保護制度そのものの根幹に関わる問題でもある。
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