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「外国人に生活保護」はなぜバッシングされる?誤った知識や思い込みで「現実とかけ離れた」イメージに、識者2人はどう見る

公開日
2025-08-26
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47NEWS
記事要約
戦後の日本では、旧植民地出身者である朝鮮半島や台湾からの人々が多く日本に残り、生活に困窮する中で、1954年から行政措置として外国人にも生活保護が支給されるようになった。生活保護法自体は「国民」を対象としているが、通知に基づく運用が長年続いており、これは違法ではない。1990年以降は、永住者や定住者など一定の在留資格を持つ外国人に限定されており、日本在住の外国人全体から見れば、生活保護の対象となる人は一部にすぎない。

SNSや一部政治家による「外国人の生活保護は違法」や「不正受給が多い」といった主張は事実と異なり、多くは誤解や偏見に基づいたものに過ぎない。実際には、支給額も少なく、保護を申請すること自体にためらいや恐れを抱く外国人が多い。特に、在留資格がない人々は生活支援の制度がほぼ存在せず、ホームレス化や医療にかかれないなど深刻な状況にある。

また、生活保護全体に占める外国人世帯の割合はわずか2.9%であり、財政への影響も限定的である。外国人が生活保護を受ける背景には、かつての植民地政策や年金制度からの排除、家族関係の断絶など、構造的な困難がある。こうした現実を無視し、外国人を標的とした政治的アピールが行われているが、そのような排外的言動は国際人権規約などに反し、社会的にも危険である。

今後は、外国人にも法的権利として生活保護を認める制度設計が必要であり、まずは一定の滞在要件を設けたうえで、段階的に国民の理解を得ていくことが現実的とされる。社会保障制度の維持には、外国人を「支える側」として捉え直し、デマではなく正確な情報に基づいた冷静な議論が求められている。
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