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労働移民に関する新たな規則 – 2026年6月1日からより厳しい要件と新たな制裁が提案される

公開日
2025-10-24
メディア
KPMG
記事要約
スウェーデン政府は、外国人労働者の搾取防止や労働市場犯罪の抑止、労働者保護の強化、高度人材の受け入れ促進を目的として、2026年6月1日から労働移民制度を厳格化する方針を示した。

新制度では、労働許可申請に必要な給与水準がこれまでの中央値賃金の八割から九割に引き上げられ、現在の水準で約二万九千六百八十クローナから約三万三千三百九十クローナに上昇する見込みである。この基準は毎年統計局のデータに基づいて調整され、政府は労働力不足職種や労使協定による賃金が基準を下回る場合に例外を設けることができるとされる。また、果実摘み労働者や介護補助など一部の職種は許可対象外となる可能性がある。

さらに、労働許可申請者は一年以内の滞在であってもスウェーデン国内で有効な包括的健康保険に加入しているか申請中でなければならない。これは、すでにEUブルーカード、ICT許可、研究・高等教育滞在許可に適用されている要件を労働許可にも拡大するものである。

雇用主に対しても厳格な要件が導入される。罰金以上の刑罰を伴う犯罪の容疑や有罪判決、労働搾取や人身取引、脱税に関連する犯罪がある場合には労働許可が拒否される。また、不法就労者を雇用した雇用主への罰金は大幅に引き上げられ、違反が三か月を超える場合にはさらに重くなる。下請け業者にも同様の基準が適用される。

ICT許可や季節労働については、労使協定または慣行に基づく最低賃金が導入され、生活維持要件は撤廃される。EUブルーカードの有効期間は従来の二年から四年に延長され、高度人材にとって魅力が増すと見込まれている。建設、清掃、運輸、派遣、介護補助など不正利用の多い分野では、労働許可の対象外とする可能性が検討されており、政府は必要に応じて除外職種リストを調整できる仕組みを提案している。

これらの新ルールは2026年6月1日に施行され、それ以前に許可された労働者の延長申請が同年12月1日までに行われた場合は旧制度が適用される。新しい給与基準は遡及されない。

KPMGは今回の改正を予測可能な動きとして評価する一方、行政負担や実務上の複雑さが増す点を指摘している。政府の例外設定や職種除外リストによる柔軟性はあるものの、実際の運用には不透明さが残る可能性があり、企業には給与水準、保険、雇用主責任を再確認して法令遵守体制を整える必要があると述べている。特に中小企業では手続き負担が増し、賃金が基準に近い外国人労働者の雇用維持や採用に影響が及ぶことが懸念される。
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