入管・在留関連ニュース

(OVO)農業大国茨城が直面する現実 外国人の不法残留問題 【水谷竹秀✕リアルワールド】

公開日
2026-08-16
メディア
OVO
記事要約
政府は、不法残留外国人の摘発や強制送還を強化するため、本年度内に出入国在留管理庁の職員を200人超増員する方針である。今年1月時点の不法滞在者は約6万8500人で、国籍別ではベトナム人約1万1600人、タイ人約1万900人、韓国人約1万人の順に多い。不法残留が治安悪化や犯罪につながるとの懸念から政府は対策を強めるが、問題の背景には単純な法執行だけでは解決できない地域社会の事情がある。

茨城県では5月11日から、不法就労者を雇用する会社やブローカーに関する情報を提供し、摘発につながった場合に1万円を支払う「通報報奨金制度」を開始した。就労する外国人本人は通報対象ではないものの、制度の導入には「外国人差別を助長する」との批判も出ている。茨城県は不法就労者数が2022年から4年連続で全国最多となっており、昨年全国で摘発された1万3435人のうち3518人を占めた。さらに県内の摘発者の約7割が農業従事者で、その多くは技能実習生として来日後、劣悪な雇用環境などを理由に実習先から離れ、茨城県に流入したベトナム人やインドネシア人だという。

茨城県は農業産出額全国3位の農業県だが、農家の高齢化と若者の農業離れによって深刻な人手不足に直面している。農業では収穫期など短期間だけ大量の人手を必要とする場合がある一方、技能実習のように長期間外国人を雇用する制度とは必ずしも適合しない。そのため、「1週間だけ働ける」と紹介された外国人の中に不法就労者が含まれるケースがあり、高齢農家が在留・就労資格を十分確認しないまま雇用する可能性も指摘されている。

農家からは、災害などで突然人手が必要になれば不法就労者に頼らざるを得ない場合があることや、外国人を合法的に雇用するための書類や手続きが複雑で、高齢者には負担が大きいとの声が上がる。こうした現場では、不法就労者を一種の「必要悪」と見る認識さえ生じている。政府による摘発強化には一定の合理性がある一方、不法就労の背景にある農業の人手不足、外国人雇用制度と短期労働需要のミスマッチ、複雑な手続きなどの構造的問題を解決しなければ、取り締まりだけで問題を根本的に解消することは難しい。
タグ
不法残留

「不法残留」を含むニュース記事一覧

公開日
記事のタイトル
タグ
2024-06-28
不法就労,不法残留,退去強制,短期滞在