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南アフリカの新しい移民政策はデジタル化に向かっているが、成功するだろうか?

公開日
2026-01-27
メディア
The Conversation
記事要約
南アフリカで新たに公表された移民・市民権・難民政策に関する白書案は、過去30年で4回目となるが、これまでとは一線を画す野心的かつ体系的な改革案である。効率性と人道性の両立を目指し、断片的だった従来の制度を抜本的に見直そうとしている点が特徴だ。

最大の柱は、移民・難民・市民に関する情報の全面的なデジタル化である。出生・死亡登録や生体認証を含む「インテリジェント人口登録簿」を構築し、AIやリアルタイムデータ連携を活用して、移民管理、公共サービス、国家計画を一体的に行う構想が示されている。これにより、非効率や不正、身元詐称の防止が期待される。

不法滞在者や難民申請中の外国人も「存在として把握」され、銀行口座の利用や納税が可能になる点は大きな転換である。一方で、難民・庇護希望者の管理は厳格化され、「最初に通過した安全国」への送還原則も導入される。

また、市民権取得については、滞在年数重視の仕組みから、学歴・技能・社会的貢献などを評価する「メリット(実績)重視」の制度へ移行する方針が示された。技能移民向けのポイント制、新たなスタートアップビザ、投資・リタイアメント関連ビザの見直しなども含まれている。

一方で、制度の複雑さ、個人情報保護への懸念、送還先国との合意形成の難しさなど、実現性には多くの課題が残る。外国人の社会統合策やディアスポラ活用、低技能労働者の扱いなど、十分に触れられていない論点もある。

総じて、この白書は21世紀型の移民政策への大胆な挑戦を示しているが、政治的・技術的・司法的なハードルを乗り越え、実際に実現できるかどうかが最大の焦点となっている。
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南アフリカ