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クィアとしての移民:アメリカは複雑な排斥の歴史を持つ

公開日
2025-11-24
メディア
The 19th News
記事要約
2016年、バングラデシュのLGBTQ 雑誌編集者が殺害された事件で生き延びたタラ・アスガルは、安全を求め米国に避難した。しかし彼女が到着したのは、トランプ政権誕生を目前に控え、移民やトランスジェンダーへの反発が強まる時期だった。アスガルは「米国は安全が均一ではなく、可視化が新たな危険も伴う」と語る。

米国には約130万人のLGBTQ 移民がいると推計されるが、米国の移民制度は歴史的に性的少数者を排除してきた。1875年のページ法に始まり、1917年移民法は「異常な性衝動」を理由に排除、1952年法や1965年改革でも「性的倒錯者」を入国禁止とした。1972年に同性愛が精神疾患から除外されると状況が変わり始め、1980年代には難民認定や亡命をめぐる判断が徐々に進展した。

1990年移民法で公式なLGBTQ 移民禁止は撤廃され、1994年には性的指向による迫害を亡命理由として認める前例が確立。その後、電気ショックによる「矯正」を逃れたロシア人女性や、メキシコ人ゲイ男性などの裁判が権利拡大に寄与した。トランスジェンダー移民の制度整備はさらに遅れ、2007年にようやく合法的入国の道が整い、2011年に外科手術要件が撤廃された。

現在、結婚平等など権利は進んだものの、司法判断や政策変更の影響でLGBTQ 移民の権利が揺らぐ懸念もある。アスガルは亡命面接を10年近く待ち続け、「トランス移民であることは常に境界をまたぐ存在であり、自由を求める一方で制度的制約に直面する」と語っている。
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