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トランプ政権の新たな大量国外追放戦略

公開日
2025-11-21
メディア
American Immigration Council
記事要約
トランプ政権は全政府体制で「大量強制送還」を進めており、その中心となっているのが、各都市で展開される「国境警備隊・ICEによる都市型取り締まりの標準化された作戦」である。ロサンゼルス、シカゴ、シャーロットなどで既に確認され、今後さらに多くの都市に広がると見られている。

この作戦では、国境警備隊やICEが移民が多く住む地域を巡回し、「未登録移民に見える」というだけで職務質問や拘束、車両停止を行う。これは「見た目による停止(Kavanaugh stop)」として知られ、最高裁が「未登録移民らしく見えること(人種を含む)」を根拠に停留ができると認めたもの。結果として、合法的移民や米国市民までが「見た目」で拘束される事例が相次いでいる。

取り締まりは過激化しており、シカゴではヘリからロープで建物に侵入し、住宅地に催涙ガスを投げ込むような作戦も行われた。抗議者に対しても暴力的な拘束や逮捕が行われ、ドローンで追跡されるケースも出ている。

最も苛烈な戦術を主導しているのはダン・ボヴィーノで、彼の部隊はトランプ就任前からカリフォルニア農村部で「農場労働者に見える」人々を片っ端から拘束する強襲作戦で注目を集めた。多くは市民や永住者で、一部は審理もなく即座に送還された。

トランプはこうした手法を支持し、ICE幹部を大量に解任して国境警備隊出身者に置き換え、個別逮捕ではなく「外見による一斉摘発」を拡大しようとしている。

これらの作戦の狙いは、移民コミュニティに「恐怖を植え付ける」ことにある。実際、シャーロットでは学区の子どもの15%が学校を欠席するなど、生活への影響が深刻化している。政府は1100万人を一斉に逮捕できないため、恐怖心で自主的な“自己送還”を促す戦略を取っている。

ただし、強制送還はこれらの都市作戦だけでなく、裁判所、移民手続き会場、自宅、教会、学校など全国各地で行われており、移民コミュニティは日常的に圧力と脅威にさらされている。
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米国