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デンマークの強硬な移民法がイギリスの注目を集めている。その理由とは?

公開日
2025-11-19
メディア
CNN
記事要約
デンマークは、厳格で実効性の高い移民・難民政策によって極右勢力の台頭を抑え、主流政党の再選を可能にしたとして、欧州各国から注目されている。メッテ・フレデリクセン首相率いる社会民主党は、2019年・2022年と連勝し、2026年も勝利予測が出ている。イギリス労働党もこの「デンマークモデル」を視察し、自国の亡命制度改革に取り入れようとしている。

デンマークは2015年以降、難民への恒久的な在留許可を廃止し、1〜2年ごとの短期更新制に変更。永住申請まで8年を要し、語学力やフルタイム就労などの厳しい条件が課されている。家族呼び寄せ要件も24歳以上、デンマーク語試験合格、3年間の生活保護未利用、保証金など大幅に強化された。

こうした政策は難民申請を大幅に減らした一方、多くの難民支援団体は「統合を阻害し、希望を奪う」と批判する。特に高齢者や低学歴者にとって要求水準が高すぎ、努力しても報われない感覚が広がっているという。

さらに、非西洋出身者が50%以上の住宅街を「ゲットー(現在は“並行社会”)」と分類し、住民の転居や建物の売却・解体を可能にする法律、難民の資産を没収できる「宝飾品法」など、差別的と批判される政策も存在する。

結果として、デンマークの難民認定数は2014年の6,000人超から2019年には1,700人台へ急減。2024年には10,000人あたり4件と、英国やEU平均を大きく下回る。

ただし国内では反発が強まり、最近の地方選挙では社会民主党がコペンハーゲン市政を100年以上ぶりに失うなど、都市部の進歩的支持層との亀裂も生じている。

英国はこのモデルを更に厳格化し、永住までの期間を20年に延長、2.5年ごとに安全性審査を行い、帰国可能と判断されれば deportation(送還)する仕組みを導入予定である。資産没収規定も取り入れる方針だ。

しかし専門家や一部議員からは、「統合を妨げ、難民を永遠に“二級市民”扱いする」「将来への希望を奪い、社会疎外や犯罪増加を招く」と強い懸念が出ている。英国労働党内でも「残酷で逆効果」との批判が高まり、歴史的文脈から見ると深い懸念を呼んでいる。
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