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2025年の概要:南アフリカ移民法の動向

公開日
2025-11-10
メディア
Cliffe Dekker Hofmeyr
記事要約
南アフリカでは、外国人労働者に関する管理と労働市場の規制強化が進められている。政府は「国家労働移民政策(NLMP)2025 白書」と「雇用サービス改正法案(ESAB)」を承認し、外国人雇用に対する上限枠を業種・職種・地域ごとに設定できる権限を労働相に付与する方向で法改正を進めている。ESABは現在、意見公募段階にある。

また、「移民法改正法案(2024)」では、違法滞在者の拘束期間や裁判手続きについて、48時間以内の裁判所への出廷義務など、憲法裁判所判決を反映した規定が導入される。

入管手続きのデジタル化も進んでいる。電子渡航許可(ETA)が導入され、まずG20関連渡航者から運用が開始された。将来的には観光ビザ等にも適用範囲を拡大し、国境での入出国手続きを自動化する計画である。さらに、映画・音楽・スポーツなどの業界向けに、迅速なビザ取得を可能にする新制度(STAGES、MEETS)が開始されている。

ID認証コストは2025年7月から大幅に引き上げられ、人口登録システムの高度化と不正防止が狙いとされている。一方で、当局は違法雇用への取り締まりを強化し、雇用主や不法就労者の逮捕・送還が増えている。2025年度には51,000人以上の不法滞在者が送還され、雇用主も罰金・禁錮の対象となりうると政府は強調している。

強制労働・人身取引に対する取締りも行われ、2019年のヨハネスブルグのガーメント工場摘発では、多数の違法滞在者や児童労働が確認され、関係者に20年の実刑が科された。

司法判断では、難民認定証が失効していた外国人労働者の雇用継続が違法とされ、解雇が正当と認められた判例が示された。

さらに、ビザ審査遅延に対応するため、2025年10月から2026年3月までの期限付きで、正規滞在者が審査中でも合法的に滞在・出入国できる暫定措置が取られている。また、ジンバブエおよびレソト国籍者向けの特別許可は2027年5月まで延長されている。

企業側には、外国人従業員の在留資格確認、採用プロセスの整備、関連法改正の進行状況の把握、内部監査と法令遵守体制の強化が求められる。
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