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英国の移民料金とコンプライアンス:雇用主が今知っておくべきこと

公開日
2025-11-03
メディア
Dentons
記事要約
英国では、移民関連のコストとコンプライアンス要求が同時に高まっている。特に、2025年12月16日から移民スキルチャージ(ISC)が大幅に引き上げられ、スポンサー優先サービスの手数料も2025年10月21日から上昇した。さらに政府は、従来の雇用契約に限らず、業務委託やギグワーカーなど非正規的な労働形態にまで「就労資格確認(Right-to-Work)」義務を拡張する方向での制度検討を進めている。

ISCは、国内人材育成を促す目的で、企業がスキルドワーカー等を雇用する際に年単位で支払う賦課金であり、大企業では1年あたり1,320ポンド、小規模企業では480ポンドに引き上げられる。例えば大企業が3年間のビザを発給する場合、総額は3,960ポンドとなり、複数採用すれば財務負担は大きくなる。企業側はこの費用を労働者に転嫁できないため、採用計画・更新計画と合わせて予算調整が必要となる。実務的には、要件を満たす候補者については2025年12月16日より前にCoSを発行することで現行料金が適用できる。

またスポンサー優先手続きの費用増により、迅速な手続きに対する「追加コスト」が以前より重くなるため、どの案件で優先処理を使うかの判断基準(緊急度・事業インパクト等)の整理が必要となる。

並行して政府は、従来の社員のみならず、請負・委託・プラットフォーム型就労者に対しても、RTW確認義務を法的に拡大する方向性を示している。これにより、企業は外部業者や契約人材を含めた労働力の全体像を整理し、契約条項・監査権限・デジタルID確認手段の導入など、より体系的なガバナンスが求められる可能性が高い。

企業が今行うべき対応としては、ISC増額の影響試算と採用計画への反映、必要に応じた早期CoS発行、契約文言や費用負担区分の見直し、優先サービス使用の判断基準設定、そして労働形態全体に対するRTWガバナンス体制の強化が挙げられる。さらに今後の追加値上げに備え、四半期ごとの手数料・制度改定のモニタリングが推奨される。
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