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英国の移民政策の変更の影響

公開日
2025-10-23
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NHS Employers
記事要約
英国政府は移民制度の抜本的な見直しを進めており、これによりNHS(国民保健サービス)や介護分野で働く外国人職員に大きな影響が生じる見通しとなっている。政府は「管理」「貢献」「社会的調和」を重視する方針を掲げ、労働・留学・家族ビザを含むすべての移民ルートの制度を再編する方向で進めている。2025年5月に発表された移民白書では、年内に家族政策の新枠組みや電子ビザ制度の拡充を導入する計画が示された。

介護分野では、介護職と上級介護職の新規ビザ申請が停止され、2028年7月22日までの移行期間中のみ、既存の就労者がビザの延長や他ルートからの切り替えを行うことができる。以降、これらの職種は制度対象外となる。スポンサーはCQC(Care Quality Commission)に登録された事業者に限定され、給与の下限は年間3万1300ポンドに設定される。介護職ビザ保持者は引き続き医療付加料の支払いを免除されるが、2024年3月11日以降に切り替えた者は扶養家族の帯同が認められなくなる。

医療・介護ビザでは、看護師や医師、医療技術職などの専門職が対象となる。全国賃金表に基づく職種の最低給与は2万5000ポンド、該当しない職種は3万1300ポンドまたは職種別基準の高い方が適用される。2025年12月以降は技能課金が年間1320ポンドに引き上げられ、引き続き医療付加料は免除される。扶養家族の帯同は原則として認められるが、学士未満レベルの新規申請者は対象外となる。看護助手などの職種(SOC6131)は、登録看護師や医療専門職が存在する職場に限定して適用されるよう定義が改訂される。

医療以外の職種を対象とする技能労働ビザでは、新しい給与下限が4万1700ポンドに引き上げられた。既に2024年4月以前から就労している場合は、3万1300ポンドの下限で延長や転職が可能とされる。申請者は医療付加料として年間1035ポンド(18歳未満の扶養家族は776ポンド)を支払う必要があり、技能課金も2025年12月以降に1320ポンドへ引き上げられる。

給与や手数料に関しては、スポンサー証明書の発行費が525ポンドとなり、スポンサーである雇用主が負担しなければならない。移民医療付加料は原則として有料であるが、医療・介護ビザ保持者は免除対象となる。給与の下限はスキルレベルや職種ごとに異なるが、最低でも年間2万5000ポンドが求められる。

また、家族ビザの最低所得要件は2024年4月以降2万9000ポンドに引き上げられた。政府は純移民数の削減を強く意識しているが、同時に医療・介護分野における国際的な人材の重要性も認識していると説明している。給与や語学要件、家族帯同の条件が厳格化される中で、今後は外国人職員の新規採用よりも、既存スタッフの継続雇用や制度移行の対応が中心となる見込みである。
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