入管・在留関連ニュース

なぜ日本人は急に「外国人嫌い」になったのか…「日本の治安を乱しているから」ではない歴史的理由

公開日
2025-10-24
メディア
プレジデントオンライン
記事要約
この記事は、近年日本で強まっている「外国人ヘイト(排外主義)」の拡大と、その背景にある歴史的構造を分析している。

筆者によると、現在の日本では中国や韓国など特定の国への反感にとどまらず、「外国人全般」を嫌悪する風潮が広がっている。SNS上では、外国人と直接関わったことのない人々が、ネット情報やインフルエンサーの発信を根拠に外国人への憎悪を募らせており、これが「憎悪の再生産」として拡散しているという。実際、出入国在留管理庁の調査では、約7割の日本人が「外国人への偏見や差別がある」と認識している。

しかし、日本における在留外国人は全人口の3%ほどに過ぎず、建設や介護など人手不足の分野を支える重要な存在であり、欧米のような明確な移民問題や犯罪被害も少ない。それにもかかわらず、根拠の薄い恐怖や偏見が先行して「外国人が悪い」とする言説が広まっており、筆者はこれを「イメージ先行型ヘイト」と呼ぶ。

この現象は、幕末や戦前にも繰り返された「攘夷(外国排斥)」と同じ構造を持つと指摘される。幕末の物価高騰や戦前の生活困窮時にも、庶民の不満は権力者ではなく外国人に向けられた。そして現在も、物価上昇や生活不安のなかで、人々の怒りの矛先が再び「外国人」に向かっている。2024年の参議院選で「日本人ファースト」を掲げた参政党が支持を集めたのも、こうした感情の反映だという。

筆者は、外国人ヘイトは実際の被害や事実よりも「不安のはけ口」として生まれているとし、過去80年ごとに繰り返される「攘夷」という国民的傾向の再来だと警鐘を鳴らす。物価高や社会不安の中で、「異なる者を排除することで平和を取り戻そう」とする心理が再び強まっており、その結果、無実の外国人が攻撃の対象となる危険がある。過去の歴史の教訓を語り継ぐ人がいなくなった今こそ、同じ過ちを繰り返さないために冷静な省察が求められていると結んでいる。
タグ
共生

「共生」を含むニュース記事一覧

公開日
記事のタイトル
タグ
2024-05-10
入管法,共生,育成就労,永住者,特定技能,技能実習