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「在留資格目的ではなく、愛しているから結婚した」スリランカ人男性の「難民認定・在留特別許可」求める控訴が棄却 日本人妻は“運”に左右されると訴え

公開日
2025-08-27
メディア
弁護士
記事要約
スリランカ人のナヴィーンさんと日本人の妻・なおみさんが、難民認定や在留特別許可の不許可処分の取り消しを求めて争った裁判で、東京高裁は2024年8月26日、控訴を棄却しました。ナヴィーンさんは2004年に母国で暴行や殺害予告を受けて来日し、その後オーバーステイのまま生活を続けました。2016年にはなおみさんと10年以上の交際を経て結婚しましたが、難民認定申請は2度とも不認定となり、日本人配偶者としての在留特別許可も認められませんでした。

判決では、母国スリランカには政府による保護の意思と能力があるとして難民には当たらないと判断し、また夫婦関係が「安定している」としながらも「不法残留の上に築かれたため保護に値しない」として、在留特別許可の不許可も妥当としました。これに対して弁護団は、迫害の危険は依然残っており、難民申請の遅れも不自然ではないと反論しました。また入管が「実子がいないと許可が厳しい」と述べた点を指摘し、入管行政が時期や方針によって左右される「運まかせ」の不安定なものになっていると批判しました。

ナヴィーンさんは「愛があったから10年待って結婚したのであり、在留資格が目的ではない」と訴え、なおみさんも「結婚は役所に認められているのに、なぜ入管だけが拒むのか」と不満を表明しました。控訴が退けられた今も、夫妻と弁護団は「諦めない」とし、最高裁への上告を視野に入れています。本件は小説『やさしい猫』に似た事例として「やさしい猫裁判」と呼ばれ、多くの注目を集めています。
タグ
日本人の配偶者等,裁判,難民認定,在留特別許可,スリランカ