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移民がアメリカの都市をどう形作っているか

公開日
2025-06-12
メディア
Immigration Impact
記事要約
2018年から2023年にかけて、アメリカの主要都市圏における人口増加の約4割は移民によるものであり、とくにシアトルやニューヨークなどでは、その割合が8割を超えるなど、移民が都市の人口動態を大きく支えている実態が明らかになった。これらの都市圏では2023年時点で住民の6人に1人が移民であり、彼らの存在は労働力の確保や産業維持、技術革新に不可欠となっている。

人口減少傾向にある都市圏においても、移民の増加がその減少を相殺あるいは逆転させており、ボルチモアやデトロイトなどでは、移民の増加がなければ実質的な人口減に直面していたとされる。また、これまで移民人口が少なかった地域で急速な増加が見られた例もあり、移民が全米の多様な地域で影響力を強めていることがうかがえる。

移民はまた、米国生まれの住民よりも高い割合で労働年齢層に属しており、特に看護師や介護職といった高齢化社会に必要な分野で重要な役割を果たしている。都市部では看護師の2人に1人が移民という地域もあり、今後不足が見込まれる医療人材の補完としても期待されている。

さらに、移民は高い就業率を示し、全米で膨大な額の税金を納め、消費者としても地域経済を支えている。加えて、起業活動においても顕著な存在感を示しており、特定の都市圏ではビジネスオーナーの半数以上が移民である。STEM分野においても移民の占める割合は高く、サンノゼでは7割近くが移民であるなど、アメリカのイノベーションを牽引する存在となっている。

これらのデータは、移民が単なる労働力ではなく、地域社会や経済の持続可能性にとって中核的な役割を担っていることを示しており、今後の政策設計においても、移民の貢献を正しく評価し支援する姿勢が求められている。
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