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「娘に聞いてみろ」:メルツ氏、大規模強制送還の呼びかけを擁護

公開日
2025-10-21
メディア
The Guardian
記事要約
ドイツのフリードリヒ・メルツ首相(キリスト教民主同盟〈CDU〉)が、「都市からの大規模追放」を主張し、「娘を持つ人なら賛同するはずだ」と発言したことで、移民問題をめぐる発言が「危険で極右的」として与野党双方から強い批判を受けている。

メルツは5月に首相に就任し、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の台頭を抑えることを公約としているが、移民に関する強硬発言を撤回・謝罪するよう求められても拒否し、「何も撤回しない。むしろ変革が必要だ」と述べた。

CDU内の一部議員や連立与党の社会民主党(SPD)、緑の党の議員たちは、彼の発言が差別や社会分断を助長すると非難。特に、女性や少女を移民による暴力の被害者として描く言説は、世界的な極右のプロパガンダと同じ構図だと指摘された。

メルツは「公共空間の安全」を最優先とする姿勢を強調したが、先週には「都市の景観には依然として問題がある」と発言し、排除を正当化するような言葉遣いが人種偏見を煽ると批判を浴びた。

CDU/CSUは2025年2月の総選挙で28.5%と低迷し、AfDが20.8%と過去最高を記録して以降、世論調査では両党が拮抗、あるいはAfDが上回る結果も出ている。

メルツは移民政策でメルケル前首相の「できる(Wir schaffen das)」路線を否定し、より強硬な姿勢を取ってきた。かつては移民の子どもたちを「小さなパシャ」と呼び、移民が歯科予約を埋めていると発言するなど、物議を醸したこともある。

CDUは来年の5州選挙を前に戦略を協議しており、AfDが東部で最大40%の支持を得ている中、党内ではAfDとの「連携拒否(ファイアウォール)」を維持すべきか議論が高まっている。

メルツは「AfDとの根本的な違いにより協力はあり得ない」と強調し、経済再建と違法移民対策を両立させることで国民の信頼を取り戻すと述べた。一方、AfDの共同代表アリス・ワイデルは「彼らはAfDと戦っているが、私たちはドイツのために戦っている」と挑発し、メルツの姿勢がかえってAfD支持を強めると嘲笑した。
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