[ブログ]「COEがあれば大丈夫」は危険?短期滞在からの在留資格変更で誤解されやすいポイント

2026-01-29

最近、「短期滞在」で入国したあと、日本に滞在したまま就労系・身分系など別の在留資格へ変更したい、という相談が増えています。背景としてよく聞くのが「すでに在留資格認定証明書(COE)が交付されているので、在留資格変更許可申請のときにCOEを添付すれば変更できるはず」という理解です。しかし、この“COEがあれば変更できる”という思い込みは、実務上かなり危険です。

なお、本記事は一般的な在留資格実務における注意点を整理したものです。特定活動(観光・保養活動)のように、「短期滞在」として入国した後、日本国内で在留資格認定証明書交付申請を行い、その後に在留資格変更許可申請へ進むことが制度上予定されている特殊な手続類型については、本記事の議論の対象外であることを、あらかじめ申し添えます。

結論:COEがあっても「短期滞在」からの変更は原則ハードルが高い

在留資格変更許可申請の制度自体は一般的な手続きとして用意されていますが(出入国在留管理庁:在留資格変更許可申請)、こと「短期滞在」からの変更は別枠で考える必要があります。短期滞在は“日本に一時的に滞在する”ことを前提とした資格であり、そこから中長期の在留資格へ切り替えるのは、原則として簡単ではありません。

「やむを得ない事情」がない限り、原則認められない

ポイントはここです。「短期滞在」からの在留資格変更は、「やむを得ない事情(またはこれに相当する特別な事情)」がない限り原則認められていない、という運用が強く意識されています。短期滞在は滞在の趣旨が限定されているため、当初から“日本で切り替えるつもり”の設計になっていると、審査の入口で厳しく見られやすいのが実態です。なお短期滞在そのものの位置づけは出入国在留管理庁の案内(在留資格「短期滞在」)も参考になります。

よくある誤解:「COE=やむを得ない事情」ではない

相談で多いのが、「COEを取ってある=入国後に変更できる準備は整っている=やむを得ない事情になる」というロジックです。しかし、COEはあくまで“海外から(査証申請を経て)入国する”ことを前提に使われる書類です。制度の基本線として、COEは「この活動内容であれば、その在留資格に該当し得る」という事前確認の意味合いが中心であり(出入国在留管理庁:在留資格認定証明書交付申請)、それ自体が「短期滞在からの変更を当然に認める免罪符」になるわけではありません。

現場感:東京入管で耳にした“実務の答え”

つい最近、私が東京入管の「短期滞在」カウンター付近で順番待ちをしていた際、短期滞在中に在留資格変更を希望していると思われる欧米系の女性に対して、入管職員がこう助言している会話が耳に入りました。「COEを持っているのであれば、いったん出国して、査証(ビザ)を取得し、改めて入国するのがよい」という趣旨です。もちろん個別事案で結論は変わり得ますが、少なくとも現場では“COEがあるなら出国→査証→再入国”という王道ルートに誘導される場面が現実にあります。

なぜ危険か:不許可リスクだけでなく、時間と計画が崩れる

この誤解が危険なのは、単に「不許可になるかもしれない」という点にとどまりません。短期滞在は在留期間が短く、審査の見通しが外れると、雇用開始日、活動開始日、家族との同居開始など、生活設計が一気に崩れます。さらに、短期滞在の残期間が少ない状態で申請方針を誤ると、「結局出国が必要」になった際に準備期間が足りず、結果として遠回りになることも少なくありません。

実務上の整理:おすすめの考え方

①「短期滞在のまま変更できる」前提でスケジュールを組まない。②「やむを得ない事情」を具体的に説明できるかを冷静に検討する。③COEがある場合でも、「出国→査証申請→再入国」というルートを常に並行して想定する。④受入側とも、在留資格の切替方法によって開始時期が変動する可能性を共有しておく。⑤迷ったら早めに専門家へ相談し、結果的にどのルートが最短かを見誤らない。

まとめ:「COEがある=日本で変更できる」という思い込みに注意

COEを持っていることは重要な材料ですが、それが直ちに「短期滞在からの在留資格変更が可能」という意味になるわけではありません。実務の現場では、COEがあるからこそ、出国して査証を取り直すよう案内されるケースもあります。「通るはず」という前提で短期滞在の残り時間を消耗しないことが、最大のリスク回避になります。

Kenji Nishiyama

筆者:西山健二(行政書士 登録番号 20081126)

外国人の在留資格をサポートしてきた行政書士。事務所サイトでは、在留・入管に関する最新ニュースや実務のヒントを毎日発信中。外国人雇用にも詳しく、企業の顧問として現場のサポートも行っている。