[ブログ]「特定技能でも資格外活動?」読売の関西記事より

2026-01-19

読売の関西記事で「特定技能でも資格外活動?」と目が止まった

先日、読売新聞オンラインの関西ニュース(2026年1月3日配信の記事)を見て、正直「えっ、そうなの?」と驚きました。というのも、特定技能は制度設計上“就労の範囲が強く縛られている在留資格”であり、原則として副業・アルバイトのような資格外活動はできない、という理解が現場ではかなり一般的だからです。私自身も、少なくとも実務上は「特定技能は資格外活動をしない前提で運用すべき」というスタンスで整理してきました。

これまでの私の理解:特定技能は「資格外活動ができない」

特定技能は、受入れ機関との雇用契約に基づき、当該分野の業務にフルタイムで従事することが制度の“芯”になっています。ここが、たとえば留学生の包括的許可(週28時間)とは発想が全く違うところです。特定技能は「その仕事をするために日本にいる」在留資格であり、契約で定めた就労(分野・業務内容・時間)に沿って安定的に働くことが前提になります。だからこそ、受入れ側は支援計画・届出・労務管理まで含めて“制度として”運用する必要があり、安易なWワークは制度趣旨とぶつかりやすい、というのが私の整理でした。

それでも「驚いた」理由:審査要領の読み違いが起きやすい

一方で、資格外活動許可という制度自体は、「就労系の在留資格=一切副業不可」と単純化できるものではありません。私の別記事(資格外活動許可申請顛末記)でも書いたとおり、資格外活動で“何でもできる”わけではなく、原則として一定程度以上の知識・技術等を要する活動に限って相当性が認められる、という考え方がベースにあります。そして実務上よく起きるのが、「技能実習・特定技能は除く」という括弧書きを、“現在の在留資格として絶対に資格外活動ができない”という意味に取り違えるケースです。実際には、その括弧書きは「資格外活動として認め得る活動類型」の話であって、「今持っている在留資格が何か」とは切り分けて読まれるべき部分がある、というのがポイントになります。

では、特定技能で資格外活動が“あり得る”のか?現実の壁はここ

もっとも、理屈として整理できる部分があるとしても、特定技能で資格外活動が実際に通るかどうかは別問題です。最大の壁は「フルタイム従事」の要請です。特定技能の運用では、週5日以上かつ年間217日以上など、フルタイム就労を前提とする整理が明確に意識されています。したがって、たとえば本業の就労日数や時間を削って別のアルバイトを入れる、という設計は、入口の時点で“特定技能雇用契約の前提が崩れる”ため、実務上は極めて厳しい(=実質的に不可)になりがちです。私の記事でも、結局「契約を週5→週4にして、週1を他分野アルバイトに」という発想は、フルタイム要請の観点から難しいという整理に落ち着きました。ここをクリアできない限り、「資格外活動許可を申請する以前に、制度側が想定していない働き方」になってしまいます。

企業側が誤解しやすい“危ないポイント”

今回の読売記事をきっかけに改めて感じたのは、特定技能の運用は「できる/できない」を一言で言い切るほど単純ではない一方で、現場で誤解が起きるとダメージが大きい、という点です。たとえば「本人が休みの日にちょっと別バイトを…」という軽いノリでも、本人は資格外活動違反になり得ますし、雇用した側は不法就労助長に問われ得ます。さらに特定技能は、受入れ機関・登録支援機関・届出・支援の整合性が求められるので、労務管理や契約の整合が崩れると“在留審査だけでなく運用全体”がリスクになります。

実務的な結論:特定技能のWワークは「原則やらない」で設計する

以上を踏まえると、私の現時点の実務的な結論はシンプルです。特定技能については、原則として資格外活動を前提にしないほうが安全です。仮に「読売記事のように例外的に何かが起き得る」としても、それは例外であり、一般運用の指針にはしづらい。もしどうしても副業等のニーズがあるなら、まずは(1)フルタイム要件を損なわないこと、(2)活動内容が資格外活動として相当と言える領域か、(3)雇用契約・届出・支援計画・労務管理が矛盾しないか、を事前に精査したうえで、個別に入管へ確認する、という順番になります。少なくとも「特定技能だから大丈夫そう」「誰かが通ったらしい」では動かない、これが鉄則です。

関連:資格外活動許可の整理は別記事に詳しく書きました

資格外活動許可の基本構造、就労系資格の考え方、そして「技能実習・特定技能は除く」の読み方をめぐる“誤解が起きやすいポイント”については、私の事務所ブログのこちらの記事に、経緯も含めて詳しくまとめています。今回の読売記事で「特定技能×資格外活動」の話題に触れて気になった方は、まずは制度の骨格を押さえるところから一緒に整理していきましょう。

まとめ:ニュースで揺さぶられたときこそ、制度の“芯”に戻る

ニュースは時に、実務者の感覚を揺さぶります。今回もまさにそれで、「特定技能は資格外活動ができない」という理解を前提にしていた分、驚きが大きかった。しかし最終的には、特定技能がフルタイム就労を前提にした制度であること、そして資格外活動は“何でもOK”の仕組みではないことに立ち返る必要があります。特定技能の運用で迷ったときは、制度趣旨(フルタイム・分野・契約・支援・届出の一体運用)から逆算して判断する——この基本を外さないことが、受入れ機関にとっても、本人にとっても、いちばんのリスクヘッジになると考えています。

Kenji Nishiyama

筆者:西山健二(行政書士 登録番号 20081126)

外国人の在留資格をサポートしてきた行政書士。事務所サイトでは、在留・入管に関する最新ニュースや実務のヒントを毎日発信中。外国人雇用にも詳しく、企業の顧問として現場のサポートも行っている。