[ブログ]在留資格「日本人の配偶者等」は“気持ちと暮らし”が大切――真の結婚とそうでない結婚の境界線
2025-11-18
社会で注目される“結婚と在留資格”の話題
最近、在留資格「日本人の配偶者等」に関するニュースが取り上げられることが増えてきました。例えば、同居していない婚姻関係のまま更新を続けていた事案が報じられた記事(リンク)では、「夫婦としての生活」がどれほど重要なのかがあらためて浮き彫りになりました。もちろん、国際結婚は本来とても自然なものであり、日本で当たり前に暮らしている多くのご夫婦がいます。その一方で、「在留資格目的の結婚」が混ざってしまうと、制度への信頼が揺らぎ、まじめに生活するご夫婦にも思わぬ負担や不安が生まれてしまいます。だからこそ、この在留資格では「婚姻届を出したかどうか」だけでなく、「夫婦として一緒に暮らし、協力し合おうという気持ちがあるかどうか」が丁寧に見られる仕組みになっている、という点をまず知っていただくことが大切なのだと思います。
何が“真の結婚”と見なされるのか
真の結婚と認められるための一番大きなポイントは、やはり「夫婦としての生活があるかどうか」です。結婚は法律上の行為でもありますが、同時に、お互いを支え合いながら暮らしていく“生活の単位”でもあります。いわゆる同居は大きな目安ですが、「一緒に生活できているかどうか」という実態そのものが重視されます。ただし、仕事の事情で一時的に別居になったり、海外勤務が続いたりすることは珍しくありません。その場合でも、「なぜ別々に住んでいるのか」「どのように夫婦関係を保っているのか」を説明できれば、直ちに問題になるわけではありません。また、法律婚であるかどうかも大切な条件です。婚姻届が提出されていない内縁関係では、この在留資格の対象には原則入りません。とはいえ、法律婚であれば必ずしも安心というわけでもなく、やはり夫婦としての実態が伴っていることが不可欠です。そして何より重要なのは、“気持ち”の部分です。結婚は、形式ではなく「これからも一緒に生活していこう」という意思があってこそ成り立ちます。交際期間が短かったり、年齢差が大きかったりしても、その夫婦の背景や思いがしっかり説明できれば問題ありません。大切なのは「どれだけ自然に、夫婦としての生活が育まれているか」という点です。
申請や更新で大切になる準備と心構え
実際に在留資格の申請・更新をする段階では、「夫婦としての生活」を示すための資料をそろえることが重要になります。住民票が同じ住所になっているか、生活費をどう分担しているか、郵便物の受け取り、光熱費の支払い状況、写真や連絡の履歴など、日々の生活の積み重ねが証拠になります。とはいえ、決して“重箱の隅をつつくように証拠を出す必要がある”というわけではありません。ふだんの生活のなかで自然と残っている記録ややり取りを整理するだけで、夫婦の生活実態は十分に伝わります。もし別居が続いている場合でも、理由書を添えたり、生活費の支援記録や定期的な面会・連絡の証拠があれば問題ありません。夫婦の事情は家庭ごとにさまざまであり、それを丁寧に説明することが何より大切です。また、一度許可を受けた後も、更新のときには同じように実態を確認されます。生活が変わったときには、その都度きちんと理由を説明していくことで、不安なく在留資格を維持していくことができます。結局のところ、この在留資格の本質は「書類上の夫婦か」にではなく、「本当に夫婦として歩んでいるかどうか」にあります。形式や条件だけを満たそうとするよりも、日常の暮らしを大切にし、その積み重ねを自然に伝えられることが一番の安心につながります。
