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移民減少は雇用減速の理由ではない

公開日
2025-10-31
メディア
Federal Reserve Bank of Minneapolis
記事要約
2025年の米国労働市場は、2024年と比べて雇用増加が大きく鈍化している。とくに2025年5〜8月の非農業部門雇用は月平均でマイナスに転じており、1か月あたり15万6000人分の伸びが失われた。この要因として、労働需要の弱まりに加えて、純移民、特に合法滞在資格を持たない移民の流入減少が関係しているとされる。試算では、移民減少がこの雇用減速の約半分を説明しうる。

しかし、雇用の落ち込みは特定の州や業種に集中しておらず、幅広い分野で発生している。また、未認可労働者が多い地域や業種ほど雇用減速の度合いが小さく、移民減少だけでは労働市場の弱さを十分に説明できない点も示されている。

賃金面でも、2025年の実質賃金上昇率は2023〜2024年より明確に鈍化しており、特に低賃金労働者ほど伸びが弱い。もし移民減少が主因であれば、競争が減ることで低賃金層の賃金は相対的に上がるはずだが、実際には逆の動きが起きている。この点は、労働需要そのものが弱まっていることを示唆する。

さらに、失業率が大きく上昇していない一方で、労働力人口に参加しない人の割合が増加している。求職を諦めて労働市場から離れる動きがみられ、採用意欲や求人が全体的に低下していることが背景にある。

総合すると、2025年の労働市場の軟化は、移民減少だけではなく、より広い範囲での労働需要の弱まりが重なって生じていると考えられる。
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